動物病院で犬の去勢をする前に必要性を正しく知ろう!

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犬の去勢とはオス犬の生殖腺――精巣(睾丸)を摘出する不妊手術のことです。生殖機能をなくしてしまえば子どもを作ることができなくなるので、本来は不要な繁殖を避けるために行われてきました。

 

しかし、去勢をした犬の行動が落ち着きやすくなる、あるいはトレーニングやしつけがしやすくなるという期待から、今では不妊より飼いやすさや病気予防が去勢をする一番の目的になっています。

 

犬に去勢はしたほうがいい?しないほうがいい?

一度去勢手術を受けたら子孫は残せなくなるし、健康な体にメスを入れるのは不自然という考え方から、犬の去勢に否定的な飼い主さんはいらっしゃいます。

その一方で、性格を大人しくさせたいなどの理由から、子犬を迎えてすぐに動物病院で去勢手術の時期を相談する飼い主さんも少なくありません。

 

犬の去勢はしてもしなくても、どちらが正解でどちらが間違いというものではないのです。

飼い主さんが愛犬のことをしっかり考えて、そのうえで去勢をする、あるいはしないと決めたのであれば、それが正しいのではないでしょうか。

 

しかし、「去勢は不自然だ」「去勢をすれば大人しくなる」といったほんの一部の情報だけで決めてしまうのは考えもの。犬の去勢には一言では片付けられないメリットとデメリットがあり、その両方を正しく知ったうえで判断するべきだからです。

 

動物病院で犬に去勢をするメリットとデメリット

動物病院で子犬の不妊手術――去勢手術や避妊手術をする時期は、おおむね生後6~7ヶ月あたりが多いのではないでしょうか。

 

これは、メス犬の場合は最初の発情がくる前、あるいは1回だけ発情を経験した頃に避妊手術を行うことで、複数回発情を経験したあとより乳腺腫瘍のリスクが軽減できるからです。メス犬の避妊手術は卵巣だけではなく子宮も摘出しますので、子宮や卵巣の病気にかかる可能性がなくるのは最大のメリットではないでしょうか。

 

では、オスもメスと同様に発情を経験する前に去勢手術を行うことで病気のリスクを軽減できるのかといえば、あながちそうとも言えません。というのも、オス犬のかかる生殖器の病気は、そのほとんどがシニア期に入ってから発症するからです。

 

しかし、それでもなおオスの子犬も生後6~7ヶ月頃に去勢手術をすることが多いのは、発情を経験する前の去勢にメリットがあるからです。

去勢をするメリット

・発情前に去勢をするとマーキングを予防しやすくなる

・男性ホルモンの分泌が減るのでオス同士のケンカが減らせる

・ホルモンバランスの乱れによる情緒不安定や攻撃的になる可能性が低い

・性格が穏やかになることでしつけやトレーニングがしやすくなる

・性的欲求から解放されるのでストレスが軽減できる

・精巣腫瘍、前立腺肥大、肛門周囲線種、会陰ヘルニアなど、生殖器の病気にかかる可能性が低い

 

上記にあげたメリットは、発情を経験する前の早い時期に去勢をした場合です。病気の予防のためだけに去勢をするのであれば、手術を受ける年齢は何才であってもかまいません。極端なことを言ってしまえば、シニア期に入って生殖器の病気にかかってから、という考え方もあるのです。

 

しかし、マーキングや性衝動を経験してから去勢しても、習慣として体に刻まれた行動を変えさせることはかなり難しいでしょう。となると、マーキングの予防やしつけやすさを期待するのであれば、やはり発情を経験する前に去勢をする必要があります。

 

こういったことを踏まえたうえで去勢のデメリットを考えると、精神面より肉体に表れる変化が中心です。

 

去勢をするデメリット

・子孫を残すことができなくなる

・男性ホルモンが減少するので太りやすくなる

・全身麻酔にはリスクがあり、高齢になればなるほど体への負担が大きい

・尿漏れ、傷口の炎症といった合併症が出る可能性がある

 

発情前に去勢手術を受けたとしても、性格が穏やかにならないこともあります。また、去勢により生殖器の病気にかかる可能性はかなり低くなりますが、前立腺がんを予防することはできないといわれています。

 

去勢手術後は太りやすくなるので徹底した食事の管理を

精巣を摘出すると男性ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスそのものが大きく変わることになります。すると、本来は性的欲求や生殖活動に使われるはずだったエネルギーがいらなくなり、その結果として去勢後は太りやすくなることに。手術を受ける前と同じ食事内容を続けていたら、あっという間に肥満へまっしぐらになってしまいます。

 

健康な体を維持していくためにも去勢をしたワンちゃんの飼い主さんは、愛犬の食事内容を見直して、しっかりと管理していく必要があるのです。

 

まとめ

子犬を作る予定のない家庭犬は、未去勢のままでは発情しても欲求を満たすことができません。その結果、性衝動による強いストレスを抱え続けることになるのです。

 

去勢しないほうが生き物として自然だ、という考え方もありますが、最も重視すべきは愛犬の幸せです。そして、そのための選択肢の一つが去勢。だからこそ、適切な時期を逃さないためにも、早めに動物病院で相談することが大切です。