1才から7才ぐらいまでは、犬の生涯の中でもっとも体調が安定する時期です。子犬の頃はちょっとしたことで体調を崩してしまいがちですし、シニアになると体の衰えがだんだんと目立ち始めるもの。まさしく中間の成犬期は体力気力ともに充実した犬の黄金期といえるでしょう。
しかし、だからといって油断は禁物。なぜなら元気いっぱいに見える愛犬の体内では、もしかしたら病気につながるちょっとした異変が少しずつ進行しているかもしれないからです。
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健康診断で愛犬の体の中を調べよう!
子犬はワクチンプログラムが完了する生後半年頃までは、月に1回程度は動物病院を受診する機会がありますよね。そのたびに問診や聴診、触診などで子犬の体調を確認することから、この時期は病気の兆候があっても比較的発見されやすい状況にあります。
ところが無事にワクチンプログラムが終了すると、その後は動物病院を受診する機会がぐっと減ってしまいます。だからこそ、病気につながる兆候を見逃さないためにも、成犬になった愛犬の健康維持には定期的な健康診断が欠かせないのです。
犬の健康診断ではどんなことを調べるの?
犬の健康診断と一口に言っても、検査をする内容は動物病院によっていろいろです。調べる項目が多ければ多いほど、より詳しく愛犬の体の状態を知ることができるでしょう。
ただし、検査項目が多ければそれだけ費用はかかります。となると、経済的な負担を考えないわけにはいきません。
どの程度の項目を検査すればいいのかは、かかりつけの獣医師と相談のうえ決めるのが一番。とは言え、愛犬の体調に何も気になるところがなくても、血液検査までは毎回実施しておきたいところです。健康診断の基本的な検査項目は6つほどあります。
・問診
・触診
・視診
・血液検査
・尿検査
・便検査
健康な成犬の健康診断では、血液検査や尿・便検査までが主流です。しかしさらに詳しく犬の体内を検査する場合は、以下のような項目を追加することもあります。
・レントゲン検査
・超音波検査
・甲状腺ホルモン検査
・心電図
・眼底検査
・体脂肪測定
人間ドックの犬版――犬ドックを提供している動物病院では、CTやMRI検査などで健康診断よりさらに詳細な項目を調べることができる場合もあります。
ただし、CTやMRIは全身麻酔をかける必要があるため、一般的な健康診断で検査項目に含まれることはまずありません。
初期の兆候で見つけたい!見逃すと厄介な犬の病気
元気いっぱいで食欲もあり、見た目には何一つ悪いところがない。それなのに血液検査でなんらかの数値が正常範囲から外れてしまうことがあります。
この数値の乱れを気づかないまま放置してしまうと、少しずつ進行していった結果、いずれは病気を発症するかもしれません。
血液検査からわかる病気の兆候
血液検査をすると、いろいろな病気の兆候や内臓の状態を詳しく知ることができます。
・慢性腎不全
・肝臓疾患、胆泥症
・クッシング症候群
・膵炎
・貧血、脱水
・糖尿病、脂質異常
・炎症、感染
犬の健康診断で血液検査の結果に数値の乱れが見られても、生活習慣や食事内容を変えることで改善する可能性は充分にあります。しかし健康診断を受けないまま過ごしていると、これらの兆候に気づくことはできません。
特に肝臓や腎臓は沈黙の臓器。かなり進行しないと症状が表れてこないのです。ワンちゃんの具合が悪くなってから初めて気づいたのでは、治療はおろかすでに手遅れの場合も。
病気の発見は初期であればあるほど、完治できる可能性は高くなります。だからこそ、元気に見える成犬も定期的な健康診断が必要なのです。
犬の健康診断は愛犬の負担にならない動物病院で受けよう
犬の健康診断は全額負担。ついつい費用が安い動物病院を探したくなりますが、かかりつけの動物病院で受けるのが一番です。というのも、犬は基本的に動物病院を大の苦手にしていることがほとんどだからです。
健康診断は普段の診療より時間がかかるため、検査項目の数によっては数時間犬を動物病院に預けることも。それが見知らぬ場所ともなれば、ただでさえ動物病院が嫌いなワンちゃんにとっては、かなりのストレスになってしまうでしょう。
犬の健康診断は、愛犬の健康を維持するために受けるものです。それが大きな負担になってしまったら元も子もありません。
だからこそ、犬の健康診断は少しでもワンちゃんにとって負担の少ない、通いなれた動物病院で受けるのが一番安心です。
まとめ
大切な愛犬が楽しそうに駆け回る姿を見ていると、この先もずっとそのような日々が続く気がしますよね。しかし、どんなに元気いっぱいに見えるワンちゃんも、飼い主さんより早く年老いていくのを止めることはできません。
となれば、目指したいのは病気知らずで長生きをしてもらうこと。そのためには若いうちからの健康チェックが欠かせないのです。健康そのものに見える成犬も、年に一度は犬の健康診断を受けましょう。