生後6ヶ月から12カ月ぐらいまでの間に、メスの子犬は最初の発情を迎えます。ただし、個体差や犬種差が大きいため、もっと早くに発情を迎えることも。
初めてメス犬を飼う飼い主さんは、「生後6ヶ月なんてまだ子犬でしょう!?」と思われるかもしれません。しかし、発情を迎えた愛犬は子犬に見えても体は妊娠できる状態です。
だからこそ、避妊手術のことを先送りにするわけにはいきません。なぜなら、避妊手術に適切な時期はまさしく子犬の時期だからです。
目次
メス犬の避妊は子宮と卵巣の両方を切除
メス犬の避妊手術は、子宮と卵巣の両方を摘出する手術が主流。しかし、場合によっては卵巣のみを摘出することもあります。どちらが愛犬に適しているのかは、かかりつけの獣医師と相談して決めるのが一番。
避妊手術を受けるか受けないかも含めて、メスの子犬を迎えた飼い主さんは、早い時期に動物病院で相談をしましょう。
- 子宮と卵巣の両方を摘出
メリット/子宮と卵巣の病気を発症する可能性がかなり低くなる
デメリット/両方を切除する分、手術時間と術後の回復に時間がかかる
- 卵巣のみを摘出
メリット/手術時間が短くて済み、術創が小さいので回復が早い
デメリット/将来的に子宮の病気にかかる可能性がある
犬が避妊手術を受ける最適な時期は発情を経験する前
犬が避妊手術を受ける一番適切と思われる時期は、発情を経験する前です。しかし、だからといって幼ければ幼いほどいい、というわけではありません。
全身麻酔をかける必要があるので、発情前で体がある程度しっかりしてきた時期――生後6ヶ月から12ヶ月ぐらいまでが最適です。
その前に発情を迎えてしまった場合、最初の発情が終わって体が落ち着くまでは、避妊手術を受けることができません。発情中は子宮が充血しているので、出血量が多くなって危険だからです。
予想していたより早く愛犬が発情を迎えたら、次の発情が巡ってくる前に避妊手術を受けられるよう、かかりつけの獣医師と相談しておきましょう。
メス犬は発情するたびに婦人科系の病気のリスクが高まる
メス犬が避妊手術を受ける最大のメリットは、なんと言っても婦人科系の病気を発症するリスクを軽減できることです。特に最初の発情前に避妊手術を受けた場合、子宮や卵巣の病気だけではなく、乳腺腫瘍の発生率を0.5%程度に抑えることができます。
ところが発情を経験した後では確率が上がり、1回発情を経験すると発生率は8%に上昇。2回経験すると30%。生後30ヶ月(2才半)を過ぎると、避妊手術を受けても乳腺腫瘍予防の効果はほとんどなくなるといわれています。
犬の避妊手術で発症のリスクを下げられる病気
将来的に子犬を生ませる予定がない限り、メス犬は適切な時期に避妊手術を受ることで、婦人科系の病気にかかるリスクを軽減することができます。
- 子宮蓄膿症…子宮に入った細菌が増殖して膿が溜まり、破裂すると命の危険あり
- 卵巣腫瘍…卵巣にできる腫瘍で、症状が少なく発見した時には転移の可能性あり
- 乳腺腫瘍…乳腺にできる腫瘍で、悪性と良性はほぼ50%ずつ
もちろん、健康な犬の体にメスを入れることに抵抗のある飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
大切なワンちゃんの一生は、飼い主さんの手にゆだねられています。だからこそ、飼い主さんが真剣に考えて出した結論であれば、避妊手術を受けても受けなくても、どちらが正解でどちらが間違いということはありません。
ただし、子犬を迎えてすぐに避妊手術を受けさせると決めた場合は、早めに獣医師に相談して手術の時期を決めておきましょう。せっかくなら、病気のリスクを一番軽減できるタイミングで避妊手術を受けるのが一番だからです。
メス犬が避妊手術を受けるデメリットとは?
病気にかかるリスクを減らせる、というメリットの部分だけを見て愛犬の避妊手術を決めてしまうのはおすすめできません。犬の避妊手術にはデメリットもあります。
きちんとデメリットを理解したうえで避妊手術を受けないと、後々の健康管理に苦労することになりますよ!
- 全身麻酔のリスクがある
- 避妊手術後に合併症が出る可能性がある
- 遺伝子を残せなくなる(子犬を生めなくなる)
- 繁殖のエネルギーが必要なくなるので代謝が落ちて太りやすくなる
避妊手術を受けても受けなくても、メリットとデメリットの両方があることは間違いありません。だからこそ、両方をしっかり比較検討したうえで、愛犬に避妊手術を受けさせるかを決めることが大切なんですよね!
まとめ
子犬の可愛い姿を見ていると、発情を迎えるのはまだまだ先のような気がするものです。しかし、子犬は飼い主さんが想像している以上に駆け足で成長していく生き物。あっという間に体が変化していくのです。
避妊手術は自然の摂理に反している、という考え方もあります。しかし、一番大事なのは愛犬が幸せに生きること。病気にかかるリスクを減らして長生きする方法の一つが避妊手術だとすれば、飼い主としてその選択をすることは決して間違っていませんよ!