ワンちゃんはケガをすると、しきりにケガの患部を舐めるようになります。「まだ治ってないんじゃない?」や「かさぶたが取れてしまうのでは?」と心配になる飼い主さんも多いはず。
この記事では、ワンちゃんがケガの患部を舐める理由や舐めるのをやめさせる方法をご紹介しています。本能的な行動とはいえ、患部を舐めると皮膚炎になることも。飼い主さんが上手くコントロールしてあげましょう。
目次
犬はなぜケガを舐めるのか?
ワンちゃんがケガした部位を舐めるのは、痛みや痒みを和らげようとする本能行動です。動物の唾には、殺菌作用のある微生物や酵素が含まれています。集団生活をする動物なら、自分では舐められない部分は仲間が舐めてくれるほど、動物にとっては一般的な行動です。
この行動は、ズーファーマコロジー(zoopharmacognosy)」と呼ばれます。人間にも「唾をつければ傷が治る」という言い伝えがありますが、これも唾に含まれる成分による効果を期待したものです。
犬のケガの舐め癖は治すべき?
本能的な行動であっても、ワンちゃんがケガの患部を舐めるのはやめさせるのが得策です。唾の殺菌効果があるとはいえ、他にも色んな物を口にするワンちゃんの唾にはばい菌も多くいます。そのばい菌によって、傷口か化膿して皮膚炎となってしまうこともあるのです。
また、ワンちゃんは気になるとずっと同じ部位を舐め続けてしまいます。かさぶたを剝がしたり、炎症が広がったりすると、痛みや痒みが助長されてしまいます。お薬を塗っている場合はお薬を舐め取ってしまうことにもなるため、舐めるのをやめさせなければなりません。
犬がケガの患部を舐めるのをやめさせる方法
ワンちゃんがケガの患部を舐めるのは、本能的な行動のため止められません。だからこそ飼い主さんが、ワンちゃんが舐めないように工夫してあげる必要があります。ケガの応急処置の仕上げとして、患部を守りましょう。
1.エリザベスカラーを装着する
ワンちゃんにとってエリザベスカラーは気持ちの良いものではありません。視野が狭くなり、音が聞き取り辛くなるため当然です。しかしエリザベスカラーは、患部を舐めてしまうことを防ぐため、薬が取れてしまったり。縫合した糸が解けたりするのを防いでくれます。
最初はエリザベスカラーを嫌がっていたワンちゃんも、数日すれば慣れます。それまでは動きづらそうにしていたら、飼い主さんがサポートしてあげましょう。
2.口輪を装着する
お散歩や病院に連れていく時などの一時的な使用であれば、口輪も患部を舐めるのを防ぐのにおすすめです。まずは口輪のサイズがワンちゃんに合っている必要があります。小さい口輪はワンちゃんにとって大きなストレス。一方で大きすぎるとすぐに外れてしまい意味がありません。
口輪の着用は、少しずつ慣れさせていくことが重要です。気が済むまで匂いを嗅がせ、口輪の中におやつを入れて、口輪への不安を取り除いてあげましょう。最初は数秒の着用から始めて、着用後はワンちゃんを褒めてあげます。
3.靴下や包帯で患部を覆う
ケガをした直後には、エリザベスカラーや口輪が手元にないこともあるでしょう。家にあるものでも、ワンちゃんが患部を舐めるのを防ぐことができます。ケガをした部位を靴下や包帯で巻いてあげるのです。
ワンちゃんのサイズやケガをした部位によっては、人間の腹巻やレッグウォーマーも活用できます。顔周りに装着するエリザベスカラーや口輪と違って、ワンちゃんのストレスは軽減されます。
しかし、使うものや覆い方には注意が必要です。サイズの大小に関わらず人間が使う絆創膏は、ワンちゃんのケガの保護にはおすすめできません。絆創膏が剥がれた際に誤飲の危険があるためです。
包帯などで巻く時は、圧にも注意しましょう。止血ではなく舐めるのを防止するためなので、強く巻く必要はありません。傷口を締め付け過ぎると血流が悪くなり、回復にも影響が出ます。
まとめ
ワンちゃんがケガの患部を舐めてしまうのは、本能的な行動。ペットのワンちゃんがケガをしたら、傷口を舐めないような工夫が必要です。エリザベスカラーや口輪といったワンちゃん用の製品だけでなく、包帯や靴下など家にあるものでも患部は保護できます。
舐めて傷口が化膿すると、ケガの治りが遅くなることも。ワンちゃんがケガをしてしまったら、回復まで飼い主さんが上手くコントロールしてあげましょう。