大切なペットの困った行動、あなたを悩ませているクセ、心配事、どんなことでも「DEAR PET」が一緒に考えていきます。ご相談内容によって、獣医師、動物看護士、ドッグトレーナーがお答えしていきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
今回ご相談を寄せていただいた飼い主さんのお悩みは「吠えグセ」です。
どんな解決方法があるのか、ドックトレーナーの視点からお答えします。
目次
Q1)ペットの種類は?
ポメラニアン 5歳 メス
Q2)どんなお悩み?
誰にでも吠え続けてしまうので困っています。お客様がいらっしゃるたびに牙を剥いて威嚇してしまうし、家族に対してもかなり吠え続けます。夜遅く帰ってくるお父さんには特にひどいです。
どうすれば良いでしょうか?
ANSER)家の中のランク付けを見直させよう
ポメラニアンは特に吠える犬種なので、同様なお悩みを抱える飼い主さんはかなり多いです。
来客に対して吠えるというのは、飼い主さんにとって頭痛の種になります。
自分が一番だと思っているかもしれない
吠えるだけならまだしも、牙を剥いて威嚇するということは、相談者さんの家のボスが自分であると認識しているかもしれません。
犬というのは、群れを率いるボスが先頭に立って群れを守る習性を持っています。
愛玩犬といえども、本能的に自分がボスだと感じていれば、家族を守るために強さを誇示してしまうのです。
家族に対しても吠えてしまうという状況から見ても、自分の指示通りに動かない部下に対し権威を奮っているのだと思われます。
この吠えグセを抑えるには「人間の方がランク的に上である」と犬に認識させなければいけません。
では、どうして「犬がランク的に上だと認識してしまうのか」考えてみましょう。
例えば、用事をしている最中、ご飯の催促のために吠えられた。
用事を一旦止めて犬のご飯を優先させる。
このちょっとした行動でも、犬は「自分が上」だと判断してしまいます。
自分が吠えれば、どんな要求でも人間は対応すると覚えてしまうということは、わがまま放題をしても全ての要求が通るほど自分のランクは上なんだと考えてしまいます。
これは、犬が群れで生活してきた歴史があるために起こる現象です。
犬は人間の行動をしっかりとみているので、要求に対し手を止め、相手をした後に用事を再開したのを確認すれば、その時点で相手をした人間よりも上のランクであると判断します。
特にポメラニアンはこの性質が強いです。
食事の順番がランク付けの判断材料
また、ご飯の順番というのは家の中でのランク付けの最も強い判断材料になります。
人間が食事を終えるまで、どれだけ催促されても犬には我慢させる。
犬は、先に食事する方がランクが上であると判断する生き物なのです。
お父さんによく吠えてしまうのは、帰宅後に食事をする習慣があるからではないでしょうか。
自分より後に食事するお父さんを見て、ランクが圧倒的に下であると認識してしまっているため、お父さんにはひどく吠え続けるのではないかと思われます。
家族の中でも一番最後に食事をとるお父さんは、犬の世界でいえば一番下の存在です。
しかし、本来仕事をして帰ってきたお父さんに吠えるのは間違った行動ですので、他の家族が犬を諌めなければなりません。
普段の生活の中で、自分よりランクの上だと認識している人間がお父さんに丁寧な対応をする
吠えた自分を諌めているのに、お父さんは黙々と食事を進める。
この風景から犬が感じ取るのは、群れのボスはお父さんであるという事実です。
我慢させるのも躾の一環
犬は子供と同じです。
わがままが通れば、それを正しいと感じ、何度も同じことを繰り返してしまいます。
子供と違うのは、自分が一番であると認識した場合、家族を守る強い責任感で行動するようになることです。
しかし、人間的には犬の下で生活する認識はありませんし、自分の方が上であると考えているもの同士が一緒にいれば、当然対立しぶつかり合うのは必然的です。
犬が吠え続けて困るという飼い主さんの多くが、犬を大事にしているようで、本当は犬を崇め奉ってしまう行動をしている現実があります。
今回の相談者さんは、5歳のポメラニアンを飼っているとのことですが、ポメラニアンはとてもプライドの高い犬種です。
年齢的にも今が一番勝気な時期でもあるので、これから性格の矯正を行うのはとても難しいと思います。
それでも、家族の中での「犬のランクが人間よりも下である」という毅然とした態度で生活することで、少しずつでも今あるお悩みを解決に導いていけるのではないかと考えます。
吠えグセがあっても躾られれば大丈夫
犬の躾は、一朝一夕でできるような簡単な作業ではありません。
特に、今は群れのボスであると認識しているような子であれば、急に家族が自分に対する態度を変えれば混乱するかもしれません。
それでも、人間と犬の立場の違いを教えていかなければ、今後も今ある吠えグセを解決できずに過ごすことになるでしょう。
これまでとは違う生活をしなければならないのは、飼い主さんとしても難しく、苦しい状況が生まれるかもしれません。
それでも、本来あるべき人間と犬との距離感を、しっかりと犬に教えていくのは飼い主さんが負わなければならない責任なんです。
我慢させるのは心苦しいかもしれませんが、犬自身が認識するランク付けを正しいものに再認識できるように生活を改善してみることをおすすめします。