犬の歯周病は万病のもと――。
わかっていても、愛犬の歯磨きが思うようにできないことってありますよね。忙しくてつい歯磨きを後回しにしているうちに忘れてしまったり、いざ歯磨きしようにも、肝心の犬が嫌がって逃げてしまったり…。
病気一つしなかったとしても、犬は私たち人間より寿命の短い生き物です。だからこそ、一日でも長く一緒にいるためには、愛犬の歯磨きは必要不可欠。愛犬の歯周病対策がどれほど犬の健康に重要か、いまいちど考えてみませんか?
目次
犬の歯周病は放置厳禁!命にかかわる病気を引き起こすことも
犬の口内は人間よりpHの高い弱アルカリ性(pH8)です。虫歯の原因菌は弱酸性を好むので、弱アルカリ性の犬の口の中ではあまり繁殖できません。また、犬の唾液には炭水化物を分解して糖に変える酵素「アミラーゼ」が含まれていないため、糖分をエサにする虫歯菌は、なおのこと生きられないのです。
一方、弱アルカリ性の口の中は、カルシウムが歯に沈着しやすい状態です。この作用が続いていくと歯石がどんどんたまり、歯と歯ぐきの間に隙間ができることに。この隙間が歯周病菌の温床となり、歯ぐきに炎症を起こす原因となります。つまり、何も対策を講じなければ、犬の口内ではどんどん炎症が広がって、歯周病が深刻化していくことに…。
歯周病は単純に歯が抜けるだけの病気ではありません。歯周病菌が産出する酸が顎の骨を溶かし、さらには歯ぐきの血管内にに入り込んだ歯周病菌は、血流に乗って全身を駆け巡ります。この歯周病菌が原因となり、心不全・腎不全・肝不全などの臓器不全を引き起こすことも…。
最初は「最近なんだか愛犬の口が臭いなぁ」程度だった歯周病が、いつの間にか愛犬の寿命を削っていく、恐ろしい病気に姿を変えるかもしれないのです。
愛犬の歯周病を予防する一番の対抗策は毎日の歯磨き
歯周病を防ぐ方法はただ一つ!歯に付着した汚れ――歯垢が歯石へと変化する前に、きれいにすることです。すなわち、地道に愛犬の歯を磨くしか方法はありません。
硬い歯石に変化してしまった後では、歯ブラシで落とすことができなくなります。だからこそ、柔らかい歯垢のうちに取り除くのが一番。できてしまった歯石は簡単には取り除けないので、動物病院で除去してもらう必要があります。
では、何日置きに愛犬の歯を磨けば、歯石が付くのを防げるでしょうか。
人間の場合はおよそ2週間といわれていますが、犬の口内ではわずか3~5日で歯垢が歯石に変化します。となると、3日に一度歯を磨けば愛犬の歯周病が防げるような気がしますが、事はそう単純ではありません。
どんなに歯を磨いていても、必ず磨き残しはあるものです。3日に一度のペースで磨いていたら、磨き残した部分の歯垢はどんどん歯石化することになるでしょう。となると、やはり毎日歯を磨くしかありません。
昨日、一昨日に磨き残しがあったとしても、今日落とせたらギリギリセーフ。毎日欠かさず飼い主さんが歯磨きをしているワンちゃんでさえ、歯周病を完全に防ぐのはなかなか困難です。それだけ、犬の口内はすみずみまで歯を磨くのが難しい、ということなのでしょう。
歯ブラシがダメなら別の歯磨きグッズを試してみよう
前述した通り、犬の歯を少しの汚れも残さず磨ききるのはかなり困難です。しかし、何もしないのと何かするのでは、歯周病にかかるリスクがまるで違います。まずはとにかく愛犬の歯磨きを始めることが先決ですよ!
一昔前とは違い、いまは犬の歯磨きグッズにもいろいろなバリエーションがあります。愛犬が歯ブラシを嫌がるなら、歯ブラシ以外のオーラルケアを試してみましょう。
◆犬の歯磨きグッズの一例
- 飼い主さんの指に巻き付けるガーゼタイプの歯磨き
- 指サック型の歯ブラシ
- 犬の歯に塗るだけの液体歯磨き
- ウェットティッシュのようなシートタイプ歯磨き
- オヤツ感覚で食べさせるガムタイプ歯磨き
- 噛んで遊ぶオモチャタイプの歯磨き などなど
犬の歯を磨く道具の中で、最も歯垢が落とせるのは通常の歯ブラシです。しかし、歯ブラシで磨けないときは、次善の策としていろいろな方法を試してみましょう。
愛犬が子犬の頃から歯磨きに慣らしておくと、成犬、シニア犬になっても歯を磨きやすくなります。それが結果として最大限に歯周病を予防できるわけですが、歯磨きに慣らさないまま愛犬が成犬やシニア犬になっていたとしても、あきらめることはありません。
すでに付着している歯石は動物病院で除去してもらい、それ以降は飼い主さんが全力で歯磨きをすればいいのです。
まとめ
愛犬のオーラルケアは「即実行」が合言葉です。一日でも早く始めれば、それだけ歯周病を遠ざけ、さらには長生きをはばむ恐ろしい病気を遠ざけることにつながります。歯周病は犬の命を削る万病のもと。防いであげられるのは飼い主さんだけですよ!
愛犬の歯磨きや歯周病のことでわからないことがあれば、「DEAR PET ペットのお悩み無料相談窓口」に相談してください。獣医師や動物看護師、ドッグ トレーナーなどの専門家がアドバイスさせていただきます。