外でネコちゃんがトコトコ歩いているのを見かけると、思わず笑顔になってしまう猫好きさんもいます。その一方で、眉をひそめる猫嫌いさんも、もちろん存在しますよね。
猫好きさんの中には、かわいそうなネコちゃんに何かしてあげたいという気持ちが湧いてしまい、ついつい無責任なエサやりさんになってしまう人も。これは、猫嫌いさんや猫アレルギーを持つ人から見れば、とても迷惑な行動になってしまいます。
目次
地域猫とは?
地域猫とは「飼い主のいない猫」のこと。近年では野良猫がいるのを見てみぬふりするのではなく、きちんと去勢・避妊手術を施し、地域住民みんなで一代限りの命を見守っていきましょうという流れになってきています。
そもそもネコちゃんは、野生の動物ではありません。元をただせば人間がペットとして飼っていたネコちゃんを、捨てたり外に出したりしたことによって、繁殖した子孫が野良猫となってしまったのです。
知らない人もいるかもしれませんが、愛玩動物(ペット)の遺棄は犯罪・法律違反にあたります。「動物の愛護及び管理に関する法律」では、ペットとして動物を飼いはじめた人に対して、終生飼養することを努力義務としています。万が一にも捨てた場合には、100万円以下の罰金が科せられるのです。
動物愛護の精神が一般的に広く知れることとなり、法律もだんだんとネコちゃんはじめ、ペットにとってより良い方向に改善されてきました。
TNR活動って何?
最近よく耳にするようになってきた、TNR活動とはいったい何のことでしょうか。TNRとは、Trap(捕まえる)、Neuter(手術する)、Return(戻す)もしくはRelease(放す)の頭文字を取って作られた言葉。
野良猫をいったん捕獲して、動物病院で去勢・避妊手術をしてもらい、元の場所に戻して地域猫としてみんなで見守っていこうというのが、TNR活動です。
去勢・避妊手術を施された地域猫の耳には、手術済みの証に小さなVカットが入っています。このVカットをした耳の形が、桜の花びらに似ていることから、地域猫のことを「さくら猫」と呼ぶこともあります。
ちなみに、右耳にVカットがあるのがオス猫、左耳にあるとメス猫という目印でもあるのです。TNR活動に対しては、助成金を出してもらえる自治体も多くあるので、地域の区市役所に問い合わせをしてみてください。
そんなTNR活動をおこなっている人たちが最終的に目指していることは「飼い主のいない猫を減らすこと・いなくすること」。
外で生きているネコちゃんの寿命は、わずか3年程度といわれています。死因は交通事故や病気、心ない人間による虐待なども。家の中で生きている飼い猫の寿命が15~20年ほどもあることに比べると、外の世界はネコちゃんにとって過酷すぎるのです。
また、近隣の地域で繁殖を繰り返すため近親交配することも多くなり、結果的に身体の弱い子猫がどんどん産まれてきてしまうという問題もあります。不幸な命を増やさないためには、TNRすることがベストな選択でしょう。
「野良猫は自由気ままでいいな」と言っている人たちがよくいますが、決してそうではありません。飼い主のいないネコちゃんは、かわいそうな子たちなのです。
エサやりボランティアは、ご近所さんに配慮を
TNR活動によって、野良猫に去勢・避妊手術を施して、耳にVカットもしました。そうしたら元の場所に逃がして、ハイ終わりというわけではありません。
地域猫も、エサを食べなければ生きていけないのです。人間の都合によってTNRしたからには、エサやりボランティアとして、地域猫になった子にエサをあげるのがTNR後の一般的なやり方。これは、無責任にエサをあげるだけの行為とは、まったく意味が異なります。
誰かがエサを用意してあげなければ、地域猫はゴミ捨て場のゴミを荒らして食べ物を探し、近隣住民の迷惑にもつながってしまいかねません。
地域猫に与えるエサの代金は、代表者がボランティアとして自己負担する場合がほとんど。また「置きエサ」をすると、暑い季節は腐敗による悪臭や、虫がわくなど別の問題が出てくるため、しっかりと管理してエサをあげる必要もあります。
置きエサはやめて、毎日決まった時間にご近所さんの迷惑にならない場所で、地域猫にはエサを与えましょう。「エサは人間がくれるもの」と認識すれば、ゴミ置き場を荒らすような問題行動もしなくなることが多いです。
そして、一番ご近所トラブルになりやすいのが、地域猫の糞尿問題。自宅の敷地内や庭などに地域猫が糞尿をしていたら、誰だって迷惑だと感じます。そうならないために、エサやりボランティアをする人は、エサ場の近くに猫用トイレを用意してあげる必要も出てきます。トイレの掃除などの管理も、エサやりボランティアの人がおこなうのが通常です。
まとめ
この記事では、ネコちゃんの役に立ちたい猫好きさんが、地域猫のためにできることをまとめました。
不幸な命を減らしていくためには、TNR活動は必要不可欠です。ひとりでは難しいという人は、地域の動物愛護団体や保護猫団体にまずは相談してみることをおすすめします。
すべてのネコちゃんが温かい家庭の飼い猫として、幸せに暮らせる日がきますように。