猫にマタタビってどんな効果があるの?

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猫がメロメロになってしまうものと聞いて、マタタビを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。

大好物が転じて、効果てきめんであることを意味する「猫にマタタビ」ということわざが存在している通り、その効き目は広く知られています。

 

古くは、1704年の農業に関する書物に猫がマタタビを好むことが記されており、江戸時代の歌川芳艶や月岡芳年といった絵師の浮世絵にも、マタタビに夢中になる猫の姿が描かれたものがありました。

このように、日本国内では猫とマタタビの相性について、昔から周知されていたようです。

では、マタタビとは一体どんなものなのか、猫にはどんな効果があるのでしょうか?

 

今回は、マタタビと猫の関係性について、ご紹介させていただきます。

マタタビについて知りたい方の、参考になれば幸いでございます。

 

マタタビとは

 

まずは、マタタビの基本情報をチェックしていきましょう。

 

マタタビは、マタタビ科マタタビ属の植物であり、北海道、本州、四国、九州などの幅広い湿度の高い山林に分布しています。

 

名前の語源には諸説ありますが、アイヌ語でマタ(冬)、タムブ(亀の甲)を合わせたマタタムブという言葉から来ているという説が有力です。

 

マタタビは、別名「夏梅」とも呼ばれ、6月から7月にかけて梅に似た白い花を咲かせます。

さらに、秋口になると3センチ大でどんぐりに似た形の実をつけ、熟した実は生食や塩漬け、味噌漬け、アルコールに付けたマタタビ酒などにして食されています。

 

ちなみに、身近なものではキウイフルーツもマタタビ科の植物であり、実を割った時の種の配列などは非常に似ているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

 

さて、マタタビの大きな特徴として、虫えい果の存在が挙げられます。

ハエやマタタビアブラムシなどの昆虫が花に卵を産み付けると、成る実の形状が変わるのです。

 

コブのようにデコボコの実は虫えい果(ちゅうえいか)と呼ばれ、「虫に卵を産み付けられて変形した実」と聞くとおどろおどろしいですが、漢方薬の材料としても重宝されてきました。

また、虫えい果には猫が好む成分が特に多く含まれているのです。

 

マタタビの効果

 

マタタビには、マタタビラクトン、ネペタラクトール、アクチニジン、β-フェニルエチルアルコール、イリドミルメシン、アクチニジン、プレゴンといった、多種多様な成分が含まれています。

 

この中のマタタビラクトン、アクチニジンは、実が虫えい果の状態になることで増加するとされており、猫を人間がアルコールで酔っぱらっているかのような状態にする働きを持っているのです。

 

また、虫えい果を乾燥させて粉状にしたものが猫用マタタビとして市販されており、猫はこれを嗅ぐと全身を擦りつけたり、転げ回ったりして強烈な反応を示します。

 

効き目の具合には個体差がありますが、猫の性別、年齢によって変化するため、どちらかといえば雄の方がマタタビに対して強い反応を示す傾向にあるとされています。

 

マタタビによって、猫の上顎にあるヤコブソン器官という部位にマタタビの成分が作用し、脳の中枢神経へ刺激が加えられ、猫の体は一時的な麻痺に陥るのです。

数秒から数分にわたって恍惚とした状態が続きますが、幸い依存性はなく、健康への害もありません。

 

また、猫だけではなく虎やライオンといったネコ科の大型動物も、マタタビに同様の反応を示すようです。

そして、なぜ猫がマタタビに対してこのような反応を示すのかという根本的な原因は、長年謎とされてきました。

 

しかし、2021年になって、岩手大学と複数の大学との共同研究によって、マタタビに対する猫の反応はネペタラクトールが持つ蚊の忌避活性に起因していることが判明しました。

 

「Science Advances」という科学雑誌に発表された内容によると、猫はマタタビに含まれるネペタラクトールを全身に付着させることで、蚊を防いでいたのです。

猫にとって、蚊による吸血は体力の消耗や貧血を招き、フィラリア症などさまざまな病気を引き起こす原因になります。

 

猫のマタタビへの反応は、心地よくなって興奮しているだけではなく、蚊を防ぐために身に付けてきた、生きるための知恵といえるでしょう。

人間から見ると興奮しているだけのように見えたマタタビに対する反応が、賢い知恵から来たものだったと知ると、興味深く感じられますね。

 

またマタタビは、上記以外にも猫に対してさまざまな効果を持っています。

例えば、ストレス解消、動きが活発化することによる運動不足の解消、食欲の促進などが代表的な好ましい効果だと言えるでしょう。

 

他にも、マタタビをまぶしたおもちゃなどを与えると、猫はそれをしきりに噛むようになります。

歯や顎に強い刺激が与えられることで脳が活性化すると、老化防止にもつながるとされているようです。

 

どれくらいあげて大丈夫?

 

ここまでの情報では、マタタビは猫にとって良い効果ばかりのように思えます。

しかし、マタタビは猫を激しい興奮状態にさせる物質であるため「多くあげすぎるのも体に良くないんじゃないか」と心配になる方も多いのではないでしょうか。

 

ここからは、マタタビの適切な量や正しいあげ方について、チェックしていきましょう。

 

マタタビは、どれくらいの量をあげるのが適切なのでしょうか。

一般的に、マタタビをあげる間隔はある程度開けた方が良いとされています。

 

また、毎日のようにあげていると慣れてしまい、猫に与える良い作用が薄れてしまう可能性があるのです。

そのため、目安としては1週間につき2度ほどが、適切な量と言えるでしょう。

 

例えば、平均的な体重の成猫の場合、適量は1回につき0.5g程度とされているため、この量を基準とされることをおすすめします。

 

マタタビに反応する猫の姿は可愛いものですが、神経に作用する成分を含んでいるため、喜ぶからといって与えすぎるのは体によくありません。

 

仮に過剰な量を摂取すると、麻痺や呼吸困難といった症状に陥ることもありますので、飼い主が調整してあげることが大切です。

 

また、猫の中でも体が未発達な子猫は、マタタビの摂取に適していません。

なぜなら、子猫はマタタビが作用する体内の器官が未発達なため、刺激を強く受けすぎてパニックになってしまう可能性が考えられるからです。

 

もちろん、まったく与えてはいけないというわけではありませんが、マタタビを含む市販品には対象年齢が記されているため、飼っている猫の年齢と対象年齢を照らし合わせて、適したものを適量だけ与えるようにしましょう。

 

他には、高齢の猫がマタタビを摂取すると、体に負荷がかかってしまうケースがあります。

特に、心臓に疾患を持っている猫はマタタビによる興奮状態でダメージを受けてしまうため、与えないようにするか、医師に相談することをおすすめします。

 

健康な成猫の場合でも、マタタビの影響をどの程度受けるかは個体によって大きな差があるので、飼い始めてから最初に与える際は、適量よりも少なめにして様子を見ましょう。

 

まとめ

今回の記事では、猫とマタタビについて、いくつかの情報をご紹介させていただきました。

 

マタタビは、猫が喜ぶ嗜好品というだけではなく、上手く活用することで猫の健康に良い影響を及ぼしてくれます。

 

ただし、年齢、性別だけでなく、個体ごとに効き目には差がありますので、自分の飼い猫があまり反応しないからといって、無闇に大量のマタタビを与えることはおすすめできません。

 

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