チョコレートは犬が食べると命の危険がある食材です。
甘い匂いに誘われて「食べたい」と意思表示をしてくるかもしれませんが、愛犬の命を守るためにも絶対に与えてはいけません。
この記事では、チョコレートを与えてはいけない理由から、食べてしまった時の症状や対処法などを解説します。
目次
犬にチョコを与えるのはNG!食べてはいけない5つの理由
人間にとってはメリットもあると言われるチョコレートですが、犬にとっては絶対に与えてはいけない食べ物です。
チョコレートを犬に食べさせてはいけない理由は次の通り。
- 中毒を起こす成分が含有されている
- 糖分が多すぎる
- カフェインが含まれている
- 脂質も多く含まれている
- 悪影響な食材が入っている可能性がある
犬は頭がよく、カバンに入ったままのチョコレートや箱に入ったチョコレートを上手に取り出します。
「知らぬ間に食べていた」ということにならないよう、チョコレートの取り扱いには注意しましょう。
ここではチョコレートを犬に与えてはいけない理由について詳しく見ていきましょう。
1.中毒を起こす成分が含有されている
チョコレートに使われているカカオに含まれる「テオブロミン」は、中毒を引き起こす可能性のある成分です。
人間にとってテオブロミンは、血流量を高めて体温を上げたり、脳内物質のセロトニンに働きかけてリラックス効果を期待できたりします。
しかし、犬はテオブロミンを分解して排出することができません。
体内にどんどん蓄積されていき、神経や心臓に異常をきたす危険があります。
テオブロミンはチョコレートだけでなく、お菓子やパン、アイスなどに含まれるココアにも多く含有されているため、合わせて注意しておきましょう。
2.糖分が多すぎる
チョコレートには多くの砂糖が含まれています。
近年はカカオ量の多い「ハイカカオ」の製品が多くなり、人間にとっては健康に良い食品のように感じられることもあるでしょう。
しかし犬にとっては、チョコレートを食べることで大量の糖分を摂取することになります。
糖分過多により肥満の原因になるため、犬には絶対に与えないほうがいいでしょう。
また、甘みの少ないハイカカオチョコレートはカカオ含有量が多いため、中毒症状が出やすくなることにも注意です。
3.カフェインが含まれている
チョコレートにはカフェインも含まれています。
コーヒーや緑茶と比較すると含有量はあまり多くありませんが、カフェインも犬にとっては毒になる成分。
カカオに含まれるテオブロミンと同じように、カフェインは体内で分解・排出することができません。
体内に蓄積されることによって中毒症状を起こす危険な成分のため、コーヒーなどと同じように口に入れないようにしましょう。
4.脂質も多く含まれている
チョコレートの原料となるカカオマスには、55%の脂肪分が含まれているといわれます。
ただでさえ脂肪分が多いうえに、製造過程でさらに脂肪分を加えることもあり、チョコレート自体の脂質量はかなり多いのです。
そのため、チョコレートを口にすることで脂肪分を一度に多く摂りすぎることになり、急性膵炎を引き起こすリスクがあります。
5.悪影響な食材が入っている可能性がある
チョコレートの種類によっては、犬にとって悪影響を及ぼす製品が入っている場合があります。
具体的には以下のようなもの。
- ドライフルーツ
- リキュール
- レーズン
- ナッツ
上記のような製品を含むチョコレートを犬が口にしてしまうと、中毒を起こしやすくなり危険です。
そのため、基本的にチョコレートはあげないようにしましょう。
犬がチョコを食べてしまった時に現れる症状
犬がチョコレートを食べた直後に中毒症状が現れることは稀です。
一般的に2時間〜6時間ほどで異変が現れ始めることが多いですが、遅いと数日後に異変が現れることも。
チョコレートを食べた後に見られる症状には、次のようなものが挙げられます。
- 口渇(口の中が乾き、水分を欲する)
- ふらふらと歩く(ふらつき)
- 脈拍や呼吸が早くなる
- 落ち着きがなくなる
- 興奮状態が続く
- 意識喪失
- けいれん
- 不整脈
- 高熱
- 麻痺
- 震え
- 嘔吐
- 下痢
これらの中毒症状は、犬のサイズやどのくらいのチョコレートを摂取したかによっても変わります。
たとえば、少し舐めた程度であれば症状が出ない犬もいれば、少量でも激しい中毒症状が現れるワンちゃんもいるでしょう。
しかし、症状が出なくても犬にとって危険のある食材を口にしたことは事実です。
一刻も早く動物病院を受診し、獣医師に判断を仰ぎましょう。
なお、重篤な症状になりかねないチョコレートの摂取量は、次のように言われています。
「思ったよりも多く食べられる」と思った方もいるかもしれません。
しかし、この表の例は命の危険があるレベルの摂取量の目安。
これほど食べていなくても「尿の量が増える」といった、中毒症状とは思えないような症状から始まることもあるため受診は必須です。
とは言うものの、注意していたにも関わらず、犬がチョコレートを口にしてしまうことも無いとは限りません。
次からは、実際に犬がチョコレートを食べてしまった時の対処法を見ていきましょう。
犬にチョコを与えてしまった時の対処法
犬がチョコレートを口にしてしまった場合、自宅でできる対処法はありません。
「塩を飲ませて吐かせる」、「オキシドールを使って吐かせる」といった応急処置を目にすることがあるかもしれませんが、これは誤りです。
逆に体調を悪化させて命の危険にさらすことになるため、食べてしまったことが分かった時点で、すぐに動物病院へいきましょう。
愛犬がチョコレートをまだ口に含んでいる場合は、すぐに取り出します。
その後、チョコレートのパッケージを持ってすぐに病院に連れて行ってください。
チョコレートのパッケージには成分表記があるため、どのようなものを口にしたのか、他に有害な成分はないかなどを獣医師が判断しやすくなります。
適切な処置をしてもらうためにも、口にした量や時間、体調の変化などの情報を記録しておきましょう。
カカオに含まれるテオブロミンには、解毒剤のようなものは存在しません。
そのため、動物病院では対処療法という、すでに出ている症状などへの対処をおこなうのが一般的です。
大抵の場合は、胃に残っているものを吐かせる催吐(さいと)処置で様子を見ます。
それでも不十分なほど大量にチョコレートを摂取していたり、中毒症状がすでに出ていたりする場合は、胃洗浄や下剤を飲ませることも。
胃の中をきれいにしたら、点滴や吐き気止めなどの投与で症状が落ち着くのを見守ります。
誤って犬がチョコを食べないようにする対策
利口な犬は、どこにチョコレートが入っているのかを探し当てることができます。
飼い主さんがチョコレートを与えないようにしていても、保管場所などから出してきて勝手に口にしてしまう可能性もあるでしょう。
チョコレートは届かないところで保管することは大前提で、ジャンプしたり、段差を利用したり、少しずつ移動させたりすることで手に取れてしまわないか確認すると安心です。
具体的には、ジップロックなどの保存袋にチョコレートを入れたうえで、さらに保存瓶や保存容器に入れ、チャイルドロックをかけた戸棚に入れるなど。
そうすることで、ワンちゃんが取り出せる可能性は低くできるはず。
ここまで対策をする必要を感じない方は、扉にチャイルドロックをかけるだけで誤食の可能性を減らせます。
100円ショップなどでも育児関連のアイテムを手に入れられるため、試してみてはいかがでしょうか。
チョコの誤食を防ぐために、まさかの行動も予測して
チョコレートに含まれる成分がワンちゃんにとって毒になるため、絶対に与えてはいけません。
万が一、食べてしまった場合には、中毒症状が見られなくてもすぐに動物病院を受診してください。
解毒剤などはないため、胃に残っているものを吐かせる催吐処置や、もっと重篤な場合には胃洗浄などで様子を見るしかありません。
犬のサイズによっては少量でも激しい中毒症状を引き起こすことがあります。
愛犬を命の危険にさらさないためにも、チョコレートの管理はしっかりとおこないましょう。