ワクチンを接種したあとは、副作用により愛犬の元気がなくなる場合があります。
副作用は数日で落ち着くため、まずは安静にして様子を見ましょう。
一方で、アレルギー反応では重篤な症状が現れることもあるため、注射後は体調の変化に注意が必要です。
ここでは、ワクチン接種による副作用の症状を詳しく紹介します。
「こんな症状が出るかもしれない」と頭に入れてワクチン接種に臨みましょう。
目次
犬のワクチン接種が必要な理由
犬にワクチンを接種するべき理由は「感染症から守るため」です。
子犬や老犬など免疫力の低い犬が感染すると、致死率が高くなる危険なウイルスもあります。
一方で、ワクチン接種後の副作用の可能性は否定できません。
感染症予防でワクチン接種をしているのに「副作用で苦しむのでは意味がない」と考える飼い主さんもいるでしょう。
しかし、実際に感染症に罹患すると、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
愛犬を危険な状況から守るためにも、定期的なワクチン接種が必要です。
犬の受けるべきワクチンは大きく分けて次の3種類。
- 狂犬病ワクチン|毎年の接種が義務付けられている
- コアワクチン|免疫力が長期間続く“接種推奨”ワクチン
- ノンコアワクチン|年1回程度の定期接種が必要
ワクチンは感染症ごとに分かれており、複数のワクチンが入った「混合ワクチン」を接種することもできます。
「どの時期に」、「どのワクチンを接種すべきなのか」獣医師からの判断を仰ぎましょう。
犬のワクチンの種類や必要になる費用、接種するタイミングについては「大切な愛犬を守る!犬のワクチンが必要な理由と種類や費用について解説」の記事で詳しく解説しています。接種前の参考にご覧ください。
ワクチン接種をすることで最悪のケースを避けることに繋がるため、できるかぎりワクチン接種は済ませておきましょう。
続いて、犬のワクチン接種後に見られる軽度な副作用の症状をご紹介します。
犬のワクチン接種後に見られる「軽度な副作用」の症状
接種が義務付けられている狂犬病ワクチンをはじめ、すべてのワクチンに副作用が出る可能性があります。
命の危険がある重篤なアレルギー症状は次の章で紹介しますので、まずは軽度な副作用から見ていきましょう。
ワクチン接種後に見られる副作用の症状は次のようなものです。
- 元気がない
- ぐったりする
- 食欲低下
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 貧血
ワクチン接種後に元気がなく、ぐったりした様子になることは比較的よく見られます。
人間もワクチン接種後に体がダルくなるのと同じように、犬も万全の状態ではなくなるためです。
また、ワクチンの副作用が原因ではなく、慣れない動物病院や注射によって緊張・ストレスを感じて体調を崩している場合も。
こうした軽度な症状は一時的なもので、1〜2日程度で自然に治ることが多いです。
しかし、連日に渡り元気がなかったり、普段と比べて極端にぐったりしていたりする場合には、ワクチン接種を受けた病院に相談してください。
接種後24時間が経過するまでは、愛犬の体調や状態をしっかりと見ておきましょう。
副作用の出やすい犬の傾向と反応が現れやすい理由
どのワクチンでも副作用が出る可能性があるように、副作用の出やすい犬にも傾向があります。
注意したいのは1歳未満の子犬と10歳以上の老犬。
免疫力が下がっていたり、体力が低くなってきていたりすると、副作用の反応が出やすくなるためです。
また、ワクチンによっては犬の大きさに関係なく同じ量を注射することがあります。
そのため、小型犬のような体重の軽い犬は、大型犬に比べると副作用が出やすい傾向です。
ワクチン接種後に心配な2種類のアレルギー反応
ワクチン接種後に見られる軽度な症状は、数日様子を見ていればOKです。
しかし、注意したいのはアレルギー反応が現れた時。
ワクチンの副作用として犬に現れるアレルギー反応には、次の2種類があります。
- 即時型アレルギー
- 遅延型アレルギー
即時型アレルギーはワクチン接種後、比較的早い段階で現れるアレルギー反応です。
対して遅延型アレルギーは、接種してから数時間から24時間経ってから現れます。
それぞれで見られるアレルギー反応を把握しておきましょう。
即時型アレルギー反応で見られる症状
即時型アレルギーは、ワクチンを接種した直後から30分以内程度で症状が現れます。
いわゆる「アナフィラキシーショック」と言われるもの。
痙攣・血圧の低下・呼吸困難(チアノーゼ)のような、重篤な全身性のショック症状が出ます。
適切な処置をしないと命を落とす可能性もあるため、エピネフリン・抗ヒスタミン剤・ステロイドの注射といった処置が必要です。
迅速に処置を行うかが重要になるため、一般的に接種後30分ほどは動物病院の待合室で様子を見ることが多いでしょう。
遅延型アレルギー反応で見られる症状
遅延型アレルギーは、ワクチン接種後、数時間〜24時間以内に症状が現れます。
- 注射部位が熱くなる
- 蕁麻疹
- 嘔吐
- 下痢
このような症状の他に、顔がパンパンに腫れることがあります。
「ムーンフェイス」と呼ばれる症状で、顔面のかゆみや腫れが特徴。
このような症状が出た場合には、動物病院を受診し、獣医師の判断を仰ぎましょう。
医師のアドバイスのもと、追加接種の際に使うワクチンメーカーや、接種するワクチン数の変更を検討すると安心です。
犬のワクチン接種時に注意すべき5つのポイント
どのワクチンを接種する場合でも、副作用の可能性はゼロではありません。
副作用を完全に避けることは難しいですが、体調の変化を最小限に抑えるために意識しておきたいポイントがあります。
接種時に注意したいことは次の5つです。
- 接種前の体調に注意する
- できるだけ早い時間に接種する
- ワクチン接種で体調不良の経験があれば申告
- 接種後のお散歩は控えめにして安静に
- シャンプーやトリミングは1週間ほど待つ
ワンちゃんには、慣れない動物病院での受診や注射によってストレスがかかっています。
その他の負荷をかけないように、接種前後はいつも以上に気をつけましょう。
1.接種前の体調に注意する
人間も体調の悪い時にワクチン接種を避けるように、犬も体調が悪い時は接種を控えましょう。
病気ではなくても、元気がない・食欲不振・嘔吐や下痢のような症状が見られたり、発情中や妊娠中といった体のバランスが変化したりしている場合には避けたほうが無難です。
また、お迎えしてすぐの子犬や、ペットホテルでのお泊まり・旅行・遠出の直後などは、疲れやストレスで体調を崩しやすくなります。
目立った体調不良の症状が見られなくてもワクチン接種は別の日に変更しましょう。
2.できるだけ早い時間に接種する
ワクチンの副作用は、接種してから数分〜1日ほどで異変が出ることが多いです。
ワンちゃんの体調の変化に気がついた時にすぐ動物病院を受診できるように、なるべく早い時間帯にワクチン接種しましょう。
万が一、重篤な症状が出た時に動物病院が閉まっていると迅速な処置ができません。
できれば午前の早い時間に、遅くともお昼頃には終えておくと安心です。
3.ワクチン接種で体調不良の経験があれば申告
これまでのワクチン接種で、アレルギー反応や体調不良が見られたことがある場合には事前に動物病院へ申告しておきましょう。
特に、アレルギー反応が見られた経験がある場合、次のような判断を獣医師に仰ぎます。
- 使うワクチンの種類や同時接種の数を調整する
- アレルギー反応を起こしにくくする注射を接種前に打つ
- 重篤な症状を引き起こす可能性があるなら接種を取りやめる
これまでのワクチン接種後の様子を事前に伝えることにより、安全にワクチン接種ができるように対応してくれるでしょう。
4.接種後のお散歩は控えめにして安静に
ワクチン接種後は愛犬の元気がなくなることも多いため、できるだけ安静に過ごしたほうが無難です。
ワクチン接種後すぐにお出かけしたり、ドッグランへ遊びに行ったりするのはやめておきましょう。
軽いお散歩程度であれば問題ありませんが、長時間にならないように注意が必要です。
接種した日は、負担をかけたり、興奮させたりすることがないよう、安静に過ごすことをおすすめします。
5.シャンプーやトリミングは1週間ほど待つ
シャンプーやトリミングを受けている犬は、ただ大人しくしているように見えるかもしれません。
しかし実際は「何をされるかわからない」という不安や緊張でいっぱい。
また、飼い主さんが思っている以上に体力を消耗します。
シャンプーやトリミングはワクチン接種前に済ませておくか、接種後1週間ほど経ってから行くようにしましょう。
軽度な症状なら様子見でOK!アレルギー反応は注意
犬の接種すべきワクチンは、すべて副作用が出る可能性がゼロではありません。
しかし、ワクチン未接種では罹患した際に致死率が高くなる危険なウイルスもあるため、できるだけ接種しておいたほうが安心でしょう。
ワクチン接種後に元気がなかったり、ぐったりした様子を見せたりする軽度な症状は、1〜2日程度で自然に治ることが多いです。
対して、注意しておきたいのがアレルギー反応。
即時性アレルギー反応は接種後すぐに現れるため、病院内で過ごして様子を見ましょう。
遅延型アレルギー反応は接種後、数時間から1日程度経ってから現れる反応。
重篤な場合には動物病院での迅速な処置が必要になるため、早い時間に接種することで「診てもらいたいのに病院が閉まっている」というケースを避けられます。
アレルギー反応が出た時間や症状、どの程度継続したかなど、状況を説明できるようにすることで受診の際の参考になるでしょう。冷静に状況を見てくださいね。