飼い主さんがスイカを食べていると、愛犬も食べたがる時がありますよね。
スイカを食べると水分・栄養補給ができるため、適量であれば与えても大丈夫です。
ただし、冷たかったり、人間用に加工されたりしているスイカを食べさせると、体調につながることも。
この記事では、ワンちゃんにスイカを与える際の注意点やサイズ別の適量を紹介します。
後半では、スイカの適切な食べさせ方にも触れているので、ぜひ参考にして下さいね。
目次
犬がスイカを食べても大丈夫!アレルギーには注意を
暑い時期になると、人間が食べているスイカを犬にも分けてあげたくなりますよね。
結論からいうと、犬にスイカを与えるのは問題ありません。
スイカは、食べることで水分補給ができたり、疲労回復が期待できたりと、メリットの多い食材です。
食べすぎてご飯が食べられなくならない程度であれば、おやつやご褒美にあげてもいいでしょう。
ただし、稀にアレルギー反応が出るワンちゃんもいるため注意が必要です。
スイカによるアレルギーの症状
アレルギー反応の症状には、次のようなものが見られます。
- 体をかゆがる
- 皮膚が赤くなる
- 嘔吐
- 下痢
たくさん食べても大きな症状が出ない犬もいれば、少量を口にしただけで重篤なアレルギー症状が現れるワンちゃんもいます。
もしアレルギーが疑われる場合には、動物病院を受診して検査や処置を受けましょう。
スイカにアレルギー反応を示す犬の傾向
スイカ自体にアレルギーを持っていなくても、スイカを食べて反応が出るワンちゃんがいます。
たとえば、次のようなアレルギーを持っている犬はスイカにも注意しましょう。
- メロン
- きゅうり
- にんじん
- オナモミ
- ヨモギ
- イネ
- カバノキ
- ブタクサ
- ニワトコ
特に、メロンやきゅうりなどのウリ科の植物にアレルギー反応を出す場合、同じウリ科のスイカにも反応が出る可能性がとても高いです。
また、違うアレルギー物質であっても、似た性質を持った物質に反応してしまう「交差性アレルギー反応」で症状が出ることも。
必ず反応が現れるわけではありませんが、許容量を超えてしまう心配もあるため食べさせないほうが無難でしょう。
続いて、スイカを与える際の注意点について紹介します。
愛犬にスイカを与える際の注意点
スイカを与える際の注意点は次の5つです。
- 初めて食べる際は少量から
- 腎臓に不安がある場合は注意する
- 尿管結石の既往がある犬は避ける
- 加工されたスイカは与えない
- 与えすぎには気をつける
元気いっぱいのワンちゃんでも、食べ方を間違えると体調を崩す可能性があります。
注意点をしっかりと押さえておきましょう。
1.初めて食べる際は少量から
前章でも紹介した通り、スイカにアレルギー反応を示す犬がいます。
スイカに対して直接反応しなくても、似た性質を持った物質に反応する「交差性アレルギー反応」で症状が出ることもあるため、最初は少量から与えるのが無難です。
子犬であれば果汁を少し舐めさせる程度から始めたほうが安心ですが、成犬であれば少量の果肉から始めればOK。
体調に変化が見られなければ少しずつ与える量を増やしていきましょう。
2.腎臓に不安がある場合は注意する
スイカにはカリウムが多く含まれるため、腎臓病を発症している犬や腎臓が弱っている犬には与えないほうがいいでしょう。
カリウムは利尿作用や高血圧の予防効果が期待できる成分ですが、腎臓の動きが鈍いとうまく分解できず、体内にカリウムが蓄積します。
血中のカリウム濃度が高まった結果、「高カリウム血症」を引き起こし、四肢の痺れや筋力の低下、不整脈を引き起こし、心臓にも負担がかかる恐れがあります。
無理をしてスイカを食べる必要はないため、腎臓に不安がある場合は与えないでください。
3.尿管結石の既往がある犬は避ける
スイカに含まれている「マグネシウム」は、筋肉の伸縮に必要な成分のため、適量であれば前向きな効果が期待できます。
特に、心臓の働きをサポートする役割があるため、健康的に過ごすために取り入れておきたい成分です。
しかし、マグネシウムを大量に摂取することで「ストルバイト結石(尿管に詰まる結石)」が作られやすくなると言われています。
尿管結石の既往がある犬がスイカを食べることにより、再発する可能性があるため与えないほうが無難でしょう。
4.加工されたスイカは与えない
生のスイカではなく、ジュースや缶詰などのスイカを与えたいと思うこともあるかもしれません。
人向けに作られたジュースやクッキー、ゼリーやアイスなどの加工商品は砂糖が大量に使われています。
犬にとっては糖分の過剰摂取になるため、与えないようにしましょう。
また、チョコレートをスイカの種に見立てている商品もあります。
犬にとってチョコレートは中毒を引き起こす可能性のある危険な食品のため、絶対に与えないように気をつけてください。
犬にチョコレートを与えることで現れる中毒症状については「犬がチョコレートを食べるとどうなる?現れる中毒症状と対処法とは」の記事で詳しく解説しています。
誤って犬がチョコレートを食べないようにするための対策も紹介しているので、不安な方はチェックしてくださいね。
5.与えすぎには気をつける
スイカは水分が豊富なため、食べすぎることでお腹を壊してしまうことがあります。
また、スイカは100g当たり37kcalと低カロリーであるため「いくら食べても大丈夫」と感じてしまうかもしれません。
しかし、人間と同じ量を食べてしまうと当然、肥満の可能性が高まります。
さらに食べ過ぎによりおやつだけで満腹になってしまうと、ドッグフードで栄養補給ができなくなり、栄養バランスが偏ってしまう心配も。適量を意識して与えてくださいね。
犬にスイカに含まれる成分と与えるメリット
ここからは、スイカに含まれる成分と与えるメリットについて見ていきましょう。
スイカは犬にとってメリットのある成分が多く含まれているのが特徴です。
- 水分が多い
- 利尿作用や高血圧予防にいいカリウム
- 皮膚や毛の健康維持につながるβ-カロテン(ビタミンA)
- 老化防止や免疫力維持に役立つリコピン
まずは、それぞれのメリットを具体的に見ていきましょう。
水分が9割|食事から水分補給ができる
犬は汗をかきにくい体質のため、体温調節が苦手です。
そうした中で、スイカは夏バテや熱中症はもちろん、冬の乾燥対策としても有効的。
スイカは9割が水分でできているため、水を飲むのが苦手な犬や子犬でも熱中症などの予防に期待ができます。
他の果物に比べて糖分やカロリーも低めのため、肥満や糖尿病の心配も少ないでしょう。
ただし、スイカだけでは十分な水分補給はできないため、お水も一緒に与えるのがおすすめです。
カリウム|利尿作用・高血圧の予防
スイカに含まれる「カリウム」には、利尿作用や高血圧の予防効果が期待できます。
おしっこの回数が少なくなると老廃物や毒素が体内に蓄積。
カリウムの利尿作用効果で体外に排出することで、毒素の蓄積により起こる「腎臓病」などを予防できるでしょう。
また、カリウムは体内の余分な塩分を排出する作用もあるため、高血圧の予防に繋がります。
β-カロテン(ビタミンA)|皮膚や毛の健康維持に期待
「β-カロテン」は体内で「ビタミンA」に変換される成分で、皮膚や毛の健康状態を保つ効果が期待できます。
ビタミンAのもつ抗酸化作用が老化防止に役に立つためです。
皮膚を構成する細胞の成長や、皮脂の発生を調節してくれるため、フケの防止にもつながるでしょう。
ただし、摂取をしすぎるとビタミンA中毒を引き起こす可能性があります。
万が一、ビタミンA中毒になると、肝臓の機能が衰えたり、嘔吐したりする危険があるため、与える量には注意してください。
リコピン・ビタミンC|老化防止や免疫力の維持
スイカに含まれる「リコピン」や「ビタミンC」は、強い抗酸化作用がある成分です。
人間の体内では、エネルギーを作る過程で酸化力の強い「活性酸素」が作られます。
活性酸素が増えすぎると血管や細胞を傷つけて体の内側を酸化させ、動きを鈍くさせてしまう性質があります。
活性酸素と戦ってくれる抗酸化作用のある成分を摂ることにより、アンチエイジングや免疫力の維持のサポートをしてくれるでしょう。
また、肥満予防や肌の健康を守る効果も期待できるため、運動不足になりやすい老犬にもおすすめです。
赤いスイカにはトマトの1.5倍のリコピンが含まれていますが、黄色いスイカにはあまり含まれません。
ビタミンCは赤肉・黄色どちらのスイカにも含まれるため、お好みで選んでください。
【サイズ別】犬にスイカを与えるならどのくらいの量?
犬のサイズや運動量などによって、食べてもいいスイカの量は異なります。
ここでは、ワンちゃんのサイズ別に食べてもいい量を確認しておきましょう。
カッコの中の数字は「2cm角のサイコロ状に切ったスイカ」を想定しています。
この数字はあくまでも目安です。
食事からきちんと栄養が摂れるように、スイカでお腹いっぱいにさせないことも大切。
特に、子犬や老犬はスイカを食べることよりも、必要な栄養素が入ったドッグフードを食べることを最優先にしてくださいね。
スイカの食べさせ方の3つのポイント
犬にスイカを与える際には、次のポイントに注意して食べさせてください。
- 常温のスイカを与える
- ひと口サイズに切る
- 皮と種はできるだけ取り除く
犬はスイカを「ガブッ」とかじって食べることはできないので、ワンちゃんが食べやすいようにサイズや量を調節してあげましょう。
1.常温のスイカを与える|下痢対策
犬に与えるスイカは必ず常温のものを用意しましょう。
冷たい食べ物はワンちゃんの胃腸に負担がかかり、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
水分補給としてスイカを与えても、下痢になると脱水症状を引き起こしやすくなるため本末転倒です。
常温のスイカへの食いつきがよくない時は、少しだけひんやりさせる程度にとどめておきましょう。
2.ひと口サイズに切る|窒息防止
犬はよく噛まずに飲み込むことがあるため、与えるスイカは一口サイズにカットしてあげましょう。
スイカは固い食べ物ではありませんが、万が一、大きな塊で飲み込んでしまうと窒息の危険があります。
丁寧にサイコロ状に切るのが面倒であれば、ある程度の大きさにざっくりと切り分けるだけでもOK。
万が一丸飲みしても、詰まらせない程度の大きさにカットしてから与えましょう。
3.皮と種はできるだけ取り除く|消化不良対策
スイカの外皮(緑色の部分)は固いため、必ず取り除いた状態で与えてください。
固い部分は消化に悪いため、胃腸の負担になり、下痢や嘔吐の原因になりかねません。
一方で、皮に近い白い部分には「シトルリン」という成分が含まれています。
「シトルリン」はアミノ酸の一つで、血管を広げる作用がある成分。
血流の改善や動脈硬化の予防、むくみの改善・予防の効果が期待できるでしょう。
糖分が少ないため、おやつやご飯のトッピングにもぴったり。
種を全部取り除くことは難しいため、あまり神経質になる必要はありません。
大量に食べることがなければうんちと一緒に排泄されることが多いです。
暑い夏場の水分補給にスイカはピッタリ!
9割が水分でできているスイカは、暑い夏を乗り切るのにピッタリの食材です。
お水だけでなく食事やおやつからも水分補給ができるため、脱水になりやすい時期には積極的にあげたくなりますね。
ただし与えすぎると胃腸を刺激し、下痢や嘔吐の原因になることがあるので注意が必要です。
適切な量を守ったうえでスイカを楽しませましょう。