犬には食べてはいけないものがいくつかあります。
人間にとっては当たり前に食べている食材でも、犬にとっては危険な食べ物であることも。
この記事では犬が食べてはいけないものを4つに分類して紹介します。
愛犬の命を守るためにもしっかりと把握し、誤って与えることがないように注意しましょう。
目次
犬が絶対に食べてはいけない5つの食材|命の危険がある
まずは、犬にとって有害な成分が含まれていたり、中毒を起こしやすかったりする食材を把握しておきましょう。
それぞれの食材を食べてはいけない理由と中毒症状を紹介します。
ネギ類(タマネギ、ニンニクなど)
長ネギやタマネギ、ニンニクやエシャロット、アサツキやニラ、ニンニクなど、ネギの仲間には注意しましょう。
これらのネギ類に含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という成分で、犬が中毒症状を起こすためです。
アリルプロピルジスルフィドは血液中の赤血球を破壊する(溶血作用)ため、次のような症状を引き起こすことがあります。
- 貧血(溶血性貧血)
- 胃腸炎
- 血尿
- 下痢
- 嘔吐
アリルプロピルジスルフィドは加熱しても成分が分解されることはありません。
コンソメのようなスープだしや、タマネギの茹で汁、ハンバーグなども与えないように注意しましょう。
特に、ニンニクはタマネギより強力だと言われています。
摂取してから数日経ってオレンジ色や暗い赤色の尿が出ることもあるため、注意して様子を観察してください。
チョコレート(カフェイン)
カカオ(チョコレートの原料)に含まれる「カフェイン」から作られる「テオブロミン」は、犬が中毒を引き起こす可能性のある成分です。
人間にとってはメリットのある成分ですが、犬はテオブロミン(カフェイン)を分解して排出することができません。
そのため、どんどん体内に蓄積されていき、神経や心臓に異常をきたす危険があります。
チョコレート以外でも、カフェインが含まれる食べ物や飲み物にも注意しましょう。
カフェインを摂取したことで起こる中毒症状は以下の通りです。
- ふらつき
- 脈拍や呼吸が早くなる
- 興奮状態が続く
- けいれん
- 高熱
嘔吐や下痢のように体調不良のような軽度な症状が現れることもあれば、意識喪失のように命に関わる重大な症状が出ることもあります。
万が一、愛犬がチョコレートを口にしてしまった場合には、すぐに動物病院を受診して適切な処置を受けましょう。
詳しくは「犬がチョコレートを食べるとどうなる?現れる中毒症状と対処法とは」で解説しています。
間違って口にすることがないように対策も怠らないようにしてくださいね。
アルコール
人と同じように犬もアルコールで酔います。
ただし、人のように心地のいい酔い方(酩酊感)ではなく、ツラい二日酔いのような状態が続くと言われています。
アルコール中毒の症状は次の通りです。
- 不安そうにする
- 見当識障害
- 浅く速い呼吸(パンディング)
- ふらつき
- 体の震え
- けいれん
- 高熱
- 嘔吐
「見当識障害」とは脳の機能が低下したことによって起こる障害。
家の中で迷子になったり、目的もなくウロウロ歩き回ったかと思えば宙をじっと見つめたりといった症状があります。
痴呆のはじまった犬にも見られる症状ですが、アルコール摂取後に現れた場合にはアルコール中毒を疑ったほうがいいでしょう。
アルコール中毒の疑いがある際はすぐに動物病院を受診してください。
臓器の機能不全を起こすことで命の危険があるため、回復するまで獣医師に診てもらう必要があるためです。
ぶどう・干しぶどう・レーズン
ぶどうや干しぶどう、レーズン、腎不全を起こす犬がいると言われています。
食べても問題ないこともありますが、万が一のことを考えて与えないほうが無難でしょう。
ぶどうなどへの中毒症状では次のようなものが現れます。
- 元気がない
- 食欲減退
- 排尿の頻度が増える
- 脱水症状
- 嘔吐
- 下痢
脱水症状を起こして排尿減少につながった結果、腎臓に負担をかけることになりかねません。
重症度によっては「慢性腎臓病」や「急性腎不全」などを引き起こし、最悪の場合、数日で命を落とす危険があります。
キシリトール
人間用の食品に使われることが多い人工甘味料「キシリトール」は、犬にとって命に関わるほど危険な成分。
なぜなら、キシリトールを口にすることで血糖値が急激に下がり、肝障害を起こす可能性があるためです。
中毒症状には嘔吐やけいれん、協調運動失調(うまく動けなくなる)があります。
発症までの時間は数分から数時間と個体差があるため、キシリトールを含んだものを口にした形跡がある場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。
犬が口にする時に注意が必要な食材|体調不良のきっかけに
続いて、中毒にはならなくても与える際に少し注意しておきたい食材を紹介します。
- アボカド
- 乳製品
- 火の通っていない生肉
- 生の魚介類や海藻
- ナッツ類(豆類)
- 生卵の白身
- 酸味の強い果物
- こんにゃく
調理方法によっては問題ありませんが、与え方によっては体調不良のきっかけになることがあります。
与える際は普段より少しだけ体調に注目して、異変を感じたらすぐに動物病院を受診してくださいね。
アボカド
犬に与えてはいけない食材として名前の挙がることが多いアボカドですが、日本国内での中毒発症例はあまり多くありません。
アボカドに含まれる「ペルシン」は人間にとっては殺菌作用が期待できる成分ですが、その他の動物は胃の不調を起こすと言われています。
品種によっても毒性が異なるため、死亡例のある「グアテマラ産」のアボカドは避けたほうがいいでしょう。
乳製品
牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品は、嘔吐や下痢、食物アレルギーのきっかけになることがあります。
乳製品に含まれる「乳糖(ラクトース)」という成分を、犬はうまく消化できないためです。
人間用として販売されている乳製品は与えず、犬用のミルクを与えてください。
誤って人間用の乳製品を口にしてお腹の不調が見られる場合、乳糖不耐症やアレルギーの可能性もあるため、念のため獣医師の診察を受けると安心です。
火の通っていない生肉
火の通っていない未調理の生肉は、人も避けるように、犬も食べないほうが無難。
加熱されていないと「トキソプラズマ」という伝染病の原虫が体内に入り込む可能性が高まるためです。
伝染病に罹患すると、下痢や体重減少などの症状を起こす恐れがあります。
生の魚介類や海藻
イカやタコ、カニやエビなど、生の魚介類は消化しにくいため消化不良の原因になります。
また、加熱しない状態の魚介類には「アニサキス」という寄生虫がいる可能性も否定できません。
気がつかないまま食べてしまうと、激しい腹痛や嘔吐などの症状に苦しむことになるでしょう。
海藻はマグネシウムが豊富に含まれているため、「ストルバイト結石」が体内に作られやすい状態になります。
ストルバイト結石は尿管結石の原因となるため、既往歴のある犬は特に注意しましょう。
ナッツ類(豆類)
ナッツなどの豆類は消化に悪く、消化不良や下痢、嘔吐の原因になります。
特にマカダミアナッツは、数粒でも体調不良を引き起こすことがあるため注意が必要です。
また、生の大豆に含まれる「トリプシンインヒビター」という成分に毒性があると言われています。決して与えないようにしてください。
生卵の白身
生卵の白身には「アビジン」という酵素が含まれており、成長を妨害する可能性があります。
ビタミンB7(ビオチン)の吸収を阻害することで「ビオチン欠乏症」を引き起こす可能性があるためです。
ビオチン欠乏症では、成長の遅れ以外にも、食欲の低下や皮膚炎が見られます。
原因となるアビジンは熱を加えることで性質が変わるため、犬に卵を与える時は必ず加熱してから与えましょう。
酸味の強い果物
レモンやグレープフルーツ、すだちなど酸味の強い食べ物は、犬にとって刺激物になります。
ビタミンCが豊富に含まれているため健康に良さそうに思うかもしれませんが、酸味が強いためにかえって下痢や嘔吐などの体調不良を引き起こす可能性があります。
こんにゃく
こんにゃくは食物繊維が豊富に含まれており、犬にとっては消化しにくい食材です。
また、結石を作りやすい性質があるため、尿管結石の既往があるワンちゃんは避けたほうがいいでしょう。
犬によってはアレルギー反応が出る可能性もあります。
口にした後に目の充血や体を痒がる姿、嘔吐や下痢などが見られる場合には、すぐに獣医師へ相談してください。
積極的に与える必要性がないもの|無理に与えない
ここからは、犬に積極的に食べさせる必要のない食材を紹介します。
重篤な症状が出ることは少ないですが、消化不良による胃のムカつきや刺激によるストレスなどを感じることがあるため、避けたほうが無難です。
特に、以下の5つは犬にとっても負担になるため与えないようにしましょう。
- 辛味成分が含まれるもの
- 脂っこいもの
- 脂肪の多い食べ物
- 生野菜
- 人間用の味付けがされたもの
胡椒やわさび、唐辛子のような辛味成分は、ワンちゃんにとっては刺激物。
お腹を壊したり、感覚麻痺を引き起こしたりする危険があります。
人間用に作られた料理や脂っこい食べ物は肥満になる可能性があり、胃腸にも負担をかけてしまうため、健康面を考えたら与えないほうがいいでしょう。
また、生野菜は犬にとって消化しにくいものが多い傾向。
与える際には食べやすい調理法を工夫するなどのひと手間が必要です。
例えば、生のほうれん草は尿結石の原因になることがあるため、茹でてから与えることでリスクを下げることに繋がります。
食べるもの以外で口にしないように気をつけるもの
普段の食事で与えてしまいそうな食材以外にも、誤って口に入れないように注意すべきものがあります。
- 植物
- 人間用の医薬品
- タバコ
- 先の尖ったもの
好奇心旺盛なワンちゃんはあらゆるものに興味を持ち、口に入れようとしてしまいがち。
うっかり危険なものを食べてしまわないように、できるだけ行動に目を配りましょう。
植物
お散歩や庭で遊んでいる時などに注意したいのが、園芸植物・野草などの誤食です。
特に次の植物には中毒物質があるため気をつけてください。
- スイセン
- チューリップ
- 鈴蘭
- 朝顔
- アロエ
- ユリ
- 彼岸花
- レンゲ
- ポインセチア
- ツツジ
- スミレ
- トリカブト
自宅での栽培を避けるだけでなく、お散歩コースに生えていないか確認しておきましょう。
人間用の医薬品
人間用に作られている医薬品を犬が摂取すると、深刻な中毒症状や命の危険があります。
鎮痛剤やサプリメントは絶対に手の届かない場所へしまったうえで、置き忘れなどにも気をつけましょう。
タバコ
タバコによるニコチン中毒は、10分程度の短時間で中毒症状が現れます。
ふるえや嘔吐、下痢や涎を垂らすなどの中毒症状が見られる場合には、急いで動物病院を受診しましょう。
先の尖ったもの
魚や肉、煮干しなどの先が尖ったものは、喉に刺さったり、内臓を傷つける可能性があるため、食べないように注意してください。
魚や肉などを与える際には骨がないことを確認し、煮干しのような固い食材は少しふやかしてから与えるといいでしょう。
また、落ちている爪楊枝や串などにも注意。自宅はもちろん、散歩中も気をつけましょう。
食べさせてもいいか悩んだら獣医に相談を!
犬は人間が食べている姿を見ると「ちょうだい!」と近づいてくるもの。
しかし、食べてはいけない食材もあるため、与える前に本当に食べても大丈夫か立ち止まって考えましょう。
特に、重篤な中毒症状を引き起こす可能性がある食材については、間違っても与えることがないようにしなければなりません。
出しっぱなし・置きっぱなしにしないことや、勝手に口に入れないようにしつけるなど、工夫をしながら愛犬の命を守っていきましょう。