一般的に犬は7才を過ぎるとシニア犬と呼ばれます。しかし元気過ぎる犬の飼い主さんは、なかなかピンとこないかもしれません。
実際に老化現象が気になりだすのは小型犬や中型犬で9~10才、大型犬だと6~7才あたり。「あれ?ここが気になる」「え、こんなだった?」と思うことが増えてきたら、迷わず動物病院に相談しましょう。
生活スタイルや食事の管理など、年老いた愛犬が充実したシニア犬ライフを送れるよう、必ず力になってくれるはずです。
目次
シニア犬の食欲がなくなる理由
食いしん坊で食欲不振とは絶対に無縁だと思っていた愛犬が、以前のようにガツガツごはんを食べなくなったら、飼い主さんは心配でたまらなくなりますよね。
愛犬の食欲不振が気になったら、まずは動物病院を受診して病気が原因ではないかを調べてもらいましょう。
病気が食欲不振の理由ではないとしたら、考えられる理由は5つです。
・体の衰えとともに食の好みが変わった
・嗅覚が衰えたことで食べ物のにおいを感じにくい
・運動量や代謝が低下したことで、以前と同じ量の食事を必要としていない
・歯が弱くなった、あるいは飲み込む力が落ちている
・足腰や首の筋肉が衰えたことで、食べる時の姿勢を保つのがつらくなった
まずは日常生活の中でワンちゃんの行動をよく観察し、そのうえで食欲の回復を目指すのが一番です。
シニア犬の食欲を回復させる食事作り
食べることは生きることに直結しています。だからこそ消化機能も新陳代謝も衰えつつあるシニア犬の食事には、「消化のしやすさ」と「美味しそう」と感じる工夫が必要。
まずはいろいろな方法を試しながら、愛犬が食べたくなるヒントを探しましょう。
・ドッグフードをシニア用に変える
・動物性たんぱく質の種類が異なったフードを試してみる(例:チキン→ラム)
・ドッグフードにお湯をかける、あるいはトッピングで美味しそうなにおいをさせる
・ドライフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードを混ぜて飲み込みやすくする
昨日はトッピングをかけたら食べたのに今日は食べてくれない、ということもあるでしょう。しかし老犬の食べムラは珍しいことではありません。
食べてくれないと落ち込むより、クイズを解くような気持ちで次に食べてくれそうなものを探し続けることが大切です。
シニア犬が食べやすくなる姿勢
若い頃はあたり前のように下を向いてご飯を食べていた犬も、筋力の衰えとともに前足の踏ん張りがきかなくなります。食欲が落ちても落ちなくても、愛犬がシニアになったら食べやすい姿勢がとれるようにしてあげましょう。
・頭が下がり過ぎないよう食器を台の上に置く
・手前に傾斜する角度がついたフードボールに変える
頭の位置が高いと口に入れた食べ物は自然に食道から胃に落ちるので、飲み込む力が弱くなったシニア犬にとっては無理のない姿勢です。
シニアになっても散歩は大切!適切な運動量は?
足腰が弱ったからといって、シニア犬を散歩に連れ出さなくなるのはよくありません。体を動かさないと筋力低下や血行不良をまねき、体の老化を早めることになるからです。
歩くのが億劫になったシニア犬に必要な運動量は、楽しく歩ける程度の散歩で充分。体調が悪そうな日は無理をして行かなくてもいいし、体調が良さそうならのんびり歩く程度が適切です。
シニア犬を散歩させるときに気をつけること
シニア犬を外へ連れ出すときは、これまで以上に気温に気をつけなければなりません。気温が高くなる時期は熱中症の危険性が高い時間帯を避けるのはもちろんですが、気温の低い時期は反対に暖かい日中に連れ出すようにしましょう。
また、散歩の途中に適度な休憩をいれることも大切。ペットカートを利用すると公園などの目的地まで歩かせずに済むので便利です。
動物病院にシニア動物に向けたシニア科が開設
ひと昔前に比べると、犬の寿命は飛躍的に伸びています。愛犬が長生きをするのは嬉しいことですが、長引く病気の治療や認知症など、飼い主さんにシニア犬介護の負担が大きくのしかかることも。
そのような問題を解決するべく、動物病院にシニア科の開設が増えつつあります。
動物病院のシニア科では、診療、治療、検査、手術、健康診断といったすべてがシニア犬の体の負担にならないよう考慮されています。また、認知症を発症したシニア犬の治療や症状の緩和はもちろんのこと、一時預かりに対応してもらえる場合も。これは介護をする飼い主さんにとってかなりの朗報ではないでしょうか。
シニア科では散歩の仕方や病気との付き合い方、食事の管理や療法食に関することなど、シニア犬との生活全般について相談に乗ってもらえます。日本全国の動物病院にシニア科が開設される日が待ち遠しいですね。
まとめ
シニア犬の介護やケアをしていると、衰えていく愛犬の姿に落ち込むことがあります。しかし、どんなに体が動かなくなったとしても、ワンちゃんにとって飼い主さんと過ごす時間は最高のご褒美です。
シニア犬のケアや介護を充実させる一番の秘訣は、飼い主さんが楽しい気持ちで愛犬と向き合うこと。もしも思い通りにいかなくて悩んだり苦しんだりする時は、一人で抱え込まず動物病院に相談しましょう。