犬を飼っている方にとって悩ましいのが、犬に寄生する代表的な害虫「ノミ」です。少し散歩に出ただけで、寄生されてしまうことも少なくありません。
ノミは、犬の皮膚に食いついて吸血する非常に厄介な存在だと言えます。目視で発見するのが難しい小さい虫なだけに、いくら注意してもノミの寄生を防ぐことは簡単ではありません。
また、その被害は犬だけでなく人間にも及びます。
人間がノミに刺されると、ひどく腫れて強いかゆみに襲われてしまうのです。
今回は犬と人間、両方の健康に害を及ぼすノミへの対処法と対策について、さまざまな情報をお届けいたします。
目次
どれくらいのノミがついてしまうの?
ではまず、ノミの生態について見ていきましょう。
現在、日本で被害を出しているノミの大半は、「ネコノミ」と呼ばれる種類です。
かつては「ヒトノミ」「イヌノミ」という種類のノミも大きな被害を出していましたが、今国内で見られるノミはネコノミがほとんどです。
ネコノミという名前を見ると、猫にだけ寄生するかのように見えますが、ネコノミは猫だけでなく犬にも寄生し、人間からも血を吸います。
体長はおよそ1~3mmで、その小さなサイズからは考えられないジャンプ力を持ち、ペットの体に取りつくのが特徴です。
犬や猫の吐く二酸化炭素や体の熱に反応して、体長の約60倍の距離、約100倍もの高さの大ジャンプを行い、動物に寄生して吸血します。
基本的に、ノミは屋外で寄生するものですが、室内飼いにしているペットでもノミに寄生されてしまうケースがあります。
最も多いのは、散歩中に寄生されるというパターンです。
「短時間の外出でも寄生されるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、草むらや藪を歩いた場合は特にノミがつく確率が高まります。
また、人の服の裾などに付着したノミが、屋内に持ち込まれることで犬に寄生する場合もありますので、飼育状況に関わらず、ノミには常に注意が必要でしょう。
動物の体に寄生したノミは、約8分以内に吸血を始めるとされています。
体毛の隙間に潜みながら、通常36時間から48時間のうちに産卵を済ませると言われており、1日に産む卵の数は平均して30個ほどです。
卵を産みつけた後も体の表面に住み着いたまま、吸血と産卵を何度も行いながら1ヵ月から2ヶ月ほどで寿命を迎えるというのが、寄生したノミのライフサイクルとされています。
一方、産みつけられた卵は温度や湿度などの条件にもよりますが、1日から6日を目安に孵化します。
卵は体毛だけに留まるわけではなく、表面がなめらかな形状をしているため、体毛から滑り落ちて屋内の床などに落ちるケースも少なくありません。
そこで孵化したノミが人間に取りつくことによって、犬だけでなく人間も吸血の被害に遭ってしまうのです。
ノミがついてしまったら
ノミがついてしまうと、愛犬にはどのような症状があらわれるのでしょうか。
ノミは、針のような形状の口を皮膚に刺して血を吸います。
刺された箇所には強いかゆみが生じるため、犬は全身のあちこちを掻いたり、噛んだりといった仕草を見せるようになることが症状の1つです。
かゆみは強いストレスを犬に感じさせるため、普段穏やかな性格のペットでも、いらだって攻撃的になったり、触れられることに抵抗を示したりするようになります。
他にも、地面に体をこすりつけるような動作を頻繁に見せている場合は、注意が必要です。
また、ブラッシングをしてあげているときなどに、肌に点々と赤みを帯びている箇所があったり、膿んだような炎症があったりする場合は、ノミの影響である可能性があります。
毛が薄くなっている、もしくは脱毛している箇所があることも、ノミに寄生されている場合の症状として挙げられます。
さらに、毛に黒い塊が付着している場合は、ノミの糞かもしれないため、注意して見てましょう。
また、ノミが寄生することで愛犬に生じる問題は、かゆみから来るストレスだけではありません。
例えば、ノミそのものやノミの唾液に対してアレルギー反応が起きる場合があり、ホットスポットと呼ばれる急性の皮膚炎が起きてしまうことがあります。
これが起きると、ノミに刺されただけの場合よりも強いかゆみに襲われてしまいます。
そのため、ノミのケアには十分気を配ってあげましょう。
また、子犬や老犬、体が小さい犬種の場合、大量のノミに寄生されてたくさんの血を吸われることで、貧血を起こしてしまう可能性もあります。
もう1つ注意が必要なのが、ノミとは別の寄生虫であるサナダムシです。
ノミにはサナダムシの幼虫が寄生している場合があり、犬が自分に寄生したノミを舌で舐めとってしまった際に、ノミごとサナダムシを体内に取り込んでしまう場合があります。
犬の体内でサナダムシは50cmを越えるサイズに成長し、肛門のかゆみや下痢、嘔吐といった症状が起きてしまうのです。
ノミがついてしまったらどうすれば?
このように、ノミの存在は犬にとって多くの害があります。
健康に大きな害を及ぼさないためには、定期的な予防薬の使用やこまめなブラッシングによるケアなど、飼い主が予防策を徹底して行うべきでしょう。
夏の間だけ予防薬を使用すればいいと思われている方もいるようですが、屋内は年間を通してノミの繁殖に適した温度に保たれています。
冬場でも、きっかけさえあればノミは犬に寄生してしまいますので、冬だからと油断せずに予防薬を使用しておくのが良いでしょう。
また、床に落ちたフケや髪の毛などはノミの幼虫の餌になります。
繁殖を防ぐためには、常に屋内を清潔に保っておくことも重要です。
では、実際にノミがついてしまった場合には、どう対応するべきなのでしょうか。
愛犬にノミがついているのを見つけた場合は、早めに動物病院を受診することがおすすめです。
ノミ用の駆虫薬も市販されていますが、犬それぞれの健康状態や症状に合わせた駆虫薬を病院で処方してもらう方が安心です。
同時にアレルギー性の皮膚炎などを発症している場合もあるため、動物病院であればそのかゆみを抑えるための薬なども一緒に処方してもらえるでしょう。
皮膚炎の症状が重いと、お風呂の際のシャンプーがしみてしまうため、病院に相談することで刺激の少ない洗い方を指導してもらえる他、皮膚に負担の少ないシャンプーを出してもらえることもあります。
加えて、ノミ取り用の目の細かいくしを使ってブラッシングをしてあげましょう。
これにより、体に付着したノミやノミの糞、卵などを取り除くことができます。
ノミを見つけた場合は思わず潰したくなってしまうかもしれませんが、潰すのは厳禁です。
ノミのメスを潰してしまうと体から細かい卵が数多くまき散らされてしまい、大量繁殖の原因となってしまいます。
ノミを絡めとったくしは洗剤を混ぜた水に浸すか、梱包用の強力なテープに貼り付けるなどして、ノミを潰さないように丁寧に処理しましょう。
こまめな駆除作業を行うことで愛犬の負担を減らしてあげることができ、人間にノミの被害が及ぶのも防げます。
まとめ
今回は、犬の生活を脅かす害虫であるノミについての情報をお届けいたしました。
ノミが体に寄生すると犬に多大なストレスを与えてしまうため、できれば未然に防ぎたいと考えるでしょう。
もし、ノミが寄生してしまった場合にも、飼い主が適切な知識を持っていれば、早期に負担を解消してあげることができるでしょう。
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