季節によって様々な花を咲かせる植物は、見る人の目を楽しませてくれます。
しかし、そんな花でも猫にとってはダメな場合があることをご存じでしょうか。
肉食動物である猫は、人間や犬と違う肝臓の働き方をします。
そのため、植物の種類によっては強い毒になってしまい、中毒症状を引き起こしてしまいます。
また、猫の毒になる植物の種類は、約700種類以上もあるのです。
今回は、その中でも猫にとってより毒性の強い花の種類をご紹介します。
目次
猫にとって苦手な花とは
肉食動物である猫が植物を食べるのは、なぜなのでしょうか。
それは、便秘の解消やグルーミングで飲み込んだ毛玉を吐き出すために、必要になるからです。
一般的に「猫草」と呼ばれる植物はエン麦などのイネ科の植物であり、尖った草が胃腸を刺激することで、毛玉を吐き出させる手伝いをしています。
そのため、家に飾っている観葉植物を食べてしまう猫がいるのです。
では、猫にとって苦手な花には、どんな種類があるのでしょうか。
ユリ
5月から8月に咲くユリは、かなり毒性が強いです。
見た目の華やかさと香りから、花束やブーケに人気の花です。
しかし、花や茎まで全ての部分に毒があり、花粉やユリを生けていた水を舐めただけでも中毒症状が出ます。
また、ユリ中毒の怖いところは、治療法がないことです。
そのため、猫がユリを食べてしまうと、なすすべもなく死んでしまいます。
ユリの近くに猫を絶対に近づけないことはもちろん、可能であればユリを家に持ち込まない方が良いでしょう。
他にも、同じユリ科の花であるチューリップも毒があるので注意しましょう。
菊
仏花などで多く使用される菊には、セスキテルペンやラクトンが含まれており、これが猫にとって毒になります。
食べると、嘔吐や下痢の症状を引き起こします。
同じくキク科のマーガレットやコスモスも危険なので、注意が必要です。
バラ
花束では主役と言っても過言ではないバラですが、バラも猫にとって毒になる部分があります。
咲いているバラに毒はありませんが、咲く前の実や種には毒が含まれています。
その毒自体は強くありませんが、猫の体内に入り酵素によって分解されることで、猛毒に変化してしまうのです。
痙攣や嘔吐、呼吸の深さと数が異常に増加する呼吸促拍に陥ることがあります。
そのため、バラを育てているご家庭は注意しましょう。
紫陽花
梅雨のイメージが強い紫陽花には、葉や蕾、根に毒があります。
主な症状は嘔吐や下痢、血便です。
紫陽花は、猫だけではなく、人間が口にしても毒になるので気を付けている方が多いでしょう。
アミグダリンという物質が中毒の原因と言われていますが、はっきりとしたことは分かっていません。
ツツジ
公園や庭先で花を咲かせるツツジにも毒があります。
毒のある部位は花や葉なので、庭にツツジのあるご家庭は猫が誤って食べてしまわないように注意が必要です。
嘔吐や下痢に加えて、よだれが大量に出るという症状も引き起こします。
カーネーション
母の日のプレゼントの定番であるカーネーションですが、カーネーションは猫が触れるだけで皮膚炎になってしまうので、注意してください。
また、飾る場合は猫が触れたり食べたりしないようにしましょう。
他にも、カーネーションと同じナデシコ科である、かすみ草やハコベにも毒があるので注意しましょう。
イチイ
イチイには、種子や葉だけではなく、樹皮にも毒があります。
少量では嘔吐や腹痛などの症状ですが、大量に摂取すると突然死する場合があるので、注意が必要です。
ナス
ナス科の花も、猫にとって毒になります。
花だけではなく実も毒になるので、家庭菜園で育てている人は注意しましょう。
また、ナスだけではなく、トマトやペチュニアも同じく毒になります。
特に、トマトは熟していない実だけでなく葉や茎にも毒があるので、育てている場合は猫が近寄らないように工夫してください。
モンステラ
大きな葉が特徴のモンステラは、観葉植物として人気のある植物です。
しかし、葉や茎にシュウ酸カルシウムがあり、猫が食べてしまうと口の中を刺激して嘔吐を引き起こします。
また、モンステラと同じサトイモ科の植物も同様の症状を引き起こすので、猫のいる部屋に飾らないようにしましょう。
朝顔
成長速度の速い朝顔は、学校などでよく育てられる花です。
この朝顔にも、猫にとって毒になる部分があります。
ファルビチンとコンボルブリンという成分が葉や種子に含まれており、嘔吐と下痢のほか、血圧低下などの症状が発症します。
ポインセチア
赤い葉が特徴で、クリスマスフラワーと呼ばれるポインセチアにも毒があります。
茎や葉に含まれるフォルボールという成分が、皮膚炎の原因になります。
また、ポインセチアを食べると口の中が焼けたような灼熱感に襲われると言われているので、要注意です。
こんな症状が出たら注意!
花による中毒には、どんな症状があるのでしょうか。
中毒による症状の多くは、嘔吐です。
猫は健康でも毛玉を吐くために、嘔吐することがあります。
しかし、短時間で何度も嘔吐を繰り返す場合は、中毒症状の可能性が高いです。
また、嘔吐物に血が混ざっていたり、吐いた後にぐったりしていたりする症状は危険なので、すぐに動物病院へ行きましょう。
下痢も中毒症状の一種です。
そのため、嘔吐と下痢をしていて、食欲も元気もないという症状が何日も続く場合は、特に注意しましょう。
他にも、知覚障害やよだれ、反射低下などの症状があり、花の毒によって症状が変わります。
また、猫の身体の大きさによっても、症状の出てくる時間が変わってきます。
植物を食べている場面を見たものの、中毒症状が出ていないからと言って安心するのは、危険です。
時間が経って中毒症状が出る場合があるので、事前知識としてチェックしておきましょう。
異変があった時の対応
では、猫に異変があった場合は、どうすれば良いのでしょうか。
まずは、飼い主が猫にとって毒である植物を食べてしまったことに気付くことが大切です。
そして、すぐに動物病院へ行きましょう。
植物を食べていることに気が付いて、慌てて自分で吐かせるなどの行為は、絶対にしてはいけません。
摂取してから1時間以内の場合は、胃洗浄や薬で嘔吐を促して毒物を吐き出させます。
このほか、医療用活性炭投与で毒物を吸収させ、便として出す方法もあるので、必ず獣医の指示に従いましょう。
また、中毒症状による嘔吐や下痢は、体内の毒物を排出する目的があるので、薬で嘔吐や下痢を止めてしまうと逆効果です。
しかし、嘔吐や下痢は胃腸に負担がかかってしまうので、保護を行いながら様子を見ていきます。
食べた種類の植物によって治療法が変わるため、どの植物をどれくらい食べたのか、いつ食べたのかを獣医に伝えましょう。
また、食べた植物の残りや、嘔吐した場合は吐瀉物を持ち込むと良いでしょう。
診察室でスムーズな治療を行うためにも、あらかじめ情報を整理しておくことを、おすすめします。
まとめ
花の毒による中毒症状は猫の命に関わることが多いので、ガーデニングが趣味で家に花があるご家庭は、特に注意してください。
また、猫にとって毒になる植物は、今回ご紹介した植物以外にもたくさん存在しています。
まだ毒性があるのか分からない植物も、存在しているのが現状です。
そのため、植物を飾る場合は猫にとって毒性が無いかどうか、しっかり調べてから飾りましょう。
毒性があるかどうか分からない場合は、猫が触ったり口に入れたりしないように、花を大きいビンに入れて飾ったり、クリアの板で仕切ったり、ガラスケースに入れたりするなどの工夫が必要です。
外でガーデニングを楽しむ場合も、作業している所に猫を入れない、花のあるスペースに猫が入らないようにする、といった工夫が必要です。
大切な猫の安全を守るためにも、花には毒があることを覚えておきましょう。
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