警察犬といえば人と共に働く犬の代表例です。
嗅覚など犬ならではの能力を活かして麻薬を見つけ出したり、人を捜索したりと大活躍しています。
警察犬として活躍している犬種は、ドーベルマンやジャーマンシェパードなどの大型犬が多いです。
新聞やテレビなどで警察犬が警官たちとともに奮闘している姿を見たことがある方もいるでしょう。
警察犬の活躍する場面は多くあるため、具体的に警察犬がどんな仕事に取り組んでいるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、警察犬の仕事や1日の過ごし方などを紹介していきます。
目次
警察犬とは
警察犬とは、警察などの法的機関によって捜索や警備に用いられる犬の総称です。
犬は嗅覚や追跡能力に優れています。
中でも、犬の嗅覚は人と比べると数千倍から一億倍優れているといわれています。
この優れた嗅覚により、人が感じ取れない物質のにおいを嗅ぎ取れるため、麻薬や人を見つけ出せるのです。
そして、こうした犬の能力を犯罪捜査に役立てる試みは古くからありました。
例えば、フランスでは1759年頃には監視や犯人逮捕の一助として犬を活用していたほか、1896年にドイツが世界で初めて警察犬制度を導入し、その後1899年にはベルギーでも警察犬制度を開始しています。
日本でも1912年にイギリスから2頭の警察犬を購入し訓練を行いましたが、その時点では本格的な制度にはならず、1930年代の終わり頃に改めて警察犬制度が発足したとされています。
続いて、警察犬がどのような仕事に取り組んでいるかを見ていきましょう。
日本の警察犬は捜査や警備活動が主な仕事です。
例えば、犯行現場に残された物品から容疑者のものかどうかを選別するほか、犯人の追跡活動や凶器の発見にも取り組みます。
上述の通り、犬は嗅覚に優れているため、物品に残ったわずかなにおいを感知することが可能です。
そして、地面などに残っているにおいを手がかりに犯人を追跡していきます。
警察犬は、犬の能力を最大限に活かした仕事といえるでしょう。
警察犬の1日をご紹介
警察犬は、一般家庭で飼われている犬とは全く違う活動をしています。
そんな警察犬がどのような1日を過ごしているのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで、警察犬の1日を一例として紹介いたします。
まず、警察犬は6時に起床し、排便などを済ませます。
自分の部屋からトイレまで移動し、また自分の部屋に戻るという流れなのですが、これを警察犬は自主的に行うのです。
散歩に連れ出す、トイレシーツを置くなどしてトイレの方法を犬にしつける飼い主は少なくありません。
部屋を移動してトイレを済ませ、また部屋に戻るという一連の流れを自分でできるのは、訓練されている警察犬ならではの賢さが感じられます。
そして、7時から10時半までは訓練が行われます。
ここで行う訓練は「服従訓練」です。
これは、担当官の命令を聞くという、警察犬にとっては基本の訓練となります。
11時から12時の間に警察犬の食事や犬舎の掃除を済ませ、13時から16時までは引き続き訓練が行われます。
例えば、「足跡追及訓練」という人間の足跡のにおいを追跡させて、犯人や行方不明者などの発見できるようにする訓練などが挙げられるでしょう。
他にも、「臭気選別活動」という現場に残った物品のにおいを覚え、容疑者と物品のにおいの識別ができるようにする訓練なども行われています。
その後16時から夕食を済ませ、19時から20時の間には夜間訓練をします。
そして、21時には就寝するのが通常のスケジュールですが、場合によっては夜間に出動要請があるケースもあるのです。
こうして数多くの訓練をこなして、事件解決のサポートをする優秀な警察犬となっていきます。
警察犬が活躍した事件
ここからは、具体的に警察犬が活躍した事件をいくつか紹介いたします。
1つ目は岐阜県高山市内で高齢の女性が行方不明になっていた事件です。
その事件では、最初に約10名の警官で1時間半ほど捜索を行っていましたが、なかなか女性を発見できませんでした。
その後、9歳の警察犬アンジーが出動要請を受け、現場に到着しました。
アンジーは女性の枕のにおいを嗅ぐとすぐに歩き出し、近くの民家のそばでその女性を見つけたのです。
捜索にかかった時間はなんとわずか3分です。
目視ではなくにおいを元に捜索を行う警察犬だからこそ、短時間で発見できたといえるでしょう。
また、アンジーは女性を発見した際、静かに女性のそばに寄り添って警官たちの到着を待っていたようです。
警察犬を訓練する指導手は「捜索対象の方を驚かさないように気遣ったのではないか」と語っており、訓練されている警察犬ならではの知性の高さが垣間見えます。
また、新米の警察犬がコンビニ強盗の確保に活躍した事件もあります。
2019年1月16日午前5時頃、岡山県岡山市北区のコンビニエンスストアに包丁を持った男が押し入り、現金を奪って逃走するという事件が発生しました。
そして、現場には犯人が所持していたスマホが落ちていたのです。
事件発生から1時間15分後、警察犬のアース号が現場に到着し、現場に落ちていた犯人のスマホのにおいを嗅ぎ始めました。
40分後にはスマホのにおいを覚え、アース号は捜査を開始したとのことです。
そして、捜査を開始してから1時間足らずで、コンビニから100メートルほど離れた場所にある犯人の自宅周辺に到着しました。
そこで、防犯カメラに映った人物に似ている男を発見し、犯人は無事確保されたのです。
他には、短期間のうちに数回も行方不明者の早期発見に貢献した警察犬が存在します。
兵庫県警鑑識課の警察犬であるクレバ号は、行方不明者の捜索現場で一時逃走してしまったことがあったため、お騒がせ警察犬として話題でした。
しかし、訓練を経てから復帰して以降、なんと数回も行方不明者を発見しているのです。
まずは、復帰して間もない2021年2月7日に行方不明になった女性を、捜索開始から45分後に見つけ出しました。
さらに、同年6月7日には行方不明者届が出されていた男性の発見に貢献しています。
この事件では、捜査官20名で2時間ほどかけても男性を発見できませんでしたが、クレバ号は約40分で男性を見つけ出しました。
クレバ号は、復帰後これらの事件を解決したことにより、署長感謝状を3度もらっています。
これは、県警の鑑識課に所属する他の警察犬と比べるとハイペースな例であり、クレバ号が非常に優秀な警察犬であることがわかります。
このように、事件解決の糸口を見つけ出してくれる警察犬は、治安維持になくてはならない存在といえるでしょう。
まとめ
今回は、警察犬の仕事内容や1日の過ごし方、実際に警察犬が活躍した例をご紹介いたしました。
警察犬は、一般家庭の犬とは異なる生活を送っているため、驚いた方も少なくないと思います。
警察犬の訓練は、犬をしつける方法として犬のしつけ教室で取り入れられているケースもあります。
例えば、服従訓練で犬と飼い主との信頼関係を築くことで、犬が飼い主に注目して行動できるようになるのです。
また、散歩の時に強引に先へ歩こうとしたり、他の犬に飛びついたりといった、犬の困った行動を減らすのにも役立ちます。
犬は、適切なしつけを行わないと飼い主よりも自分の方が優位だと思ってしまい、飼い主の指示を無視してしまうことが多々あります。
甘噛みやイタズラ程度で済めば問題ありませんが、他者に危害を加えるようなことはあってはなりません。
このように、犬と適切な上下関係を築ける警察犬の訓練は、一般家庭でも役に立つのです。
犬のために最低限のマナーを覚えさせたい場合は、今回ご紹介した警察犬の訓練を取り入れてみることをおすすめします。
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