犬の下痢の原因は?病院へ行く前の対処法と獣医に診てもらうべき症状を解説

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犬の下痢は、不調が起こっている場所によって便の状態も異なります。

 

下痢だけであれば数日様子をみて問題ありませんが、様子が変だったり、別の症状もみられたりする場合には、病気の可能性があるため受診しましょう。

 

この記事では、犬が下痢になる原因と受診の目安となる症状を解説します。

健康な犬の便と下痢までの変化

 

犬の便は通常であればバナナのような形状と柔らかさをしています。

 

散歩中に排泄物を処理するときもサッと片付けられるくらいの硬さです。

 

しかし、体調を崩して下痢になると便に含まれる水分量が増え、軟便や水様便と変化していきます。

 

下痢以外の症状が見られない場合、一過性のものであることが多いため、1〜2日自宅で様子を見ても問題ありません。

 

ただし、下痢以外の症状が見られる場合や、明らかにぐったりしている場合などは、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

犬が起こしやすい2種類の下痢とその特徴とは

 

犬が起こしやすい下痢は、大きく分けて大腸性と小腸性に分けられます。

 

大腸性下痢は大腸のトラブルが原因で起こる下痢で、水分バランスが崩れた状態のうんちが普段より明らかに多く出るのが特徴です。

 

一方で、小腸性下痢は小腸の不調で起こります。

 

軟便や水っぽい下痢が特徴であり、長引くと嘔吐などの症状も見られることも。

 

下痢を起こすときは小腸か大腸に異常がある状態が多く、それぞれで症状が変わってきます。

 

まずは、大腸性下痢と小腸性下痢の特徴と違いを理解しましょう。

大腸性下痢|大腸内の水分バランスの変化が原因

大腸性下痢は、大腸内の水分バランスが崩れたことが原因で起こる下痢。

 

特徴は以下の通りです。

 

大腸内のトラブルに対して胃腸を守ろうと「腸粘液」や「腸粘膜」という細胞が多く分泌されるため、ゼリー状の下痢(粘液便)をすることがあります。

 

普段の便とは違う下痢でも驚くのに、ゼリー状の下痢が出たらますます驚いてしまいますよね。

 

ゼリー状の下痢が出るときは大腸で不調を起こしている可能性が高いため、胃腸にいい食事やお腹を温めるなどの対処をして様子を見ましょう。

 

詳しくは「犬の下痢がゼリー状になる原因とは?必要な対処法と家でできるケア方法」を参考にしてください。

小腸性下痢|消化吸収がうまくできないことが原因

小腸性下痢は、消化吸収がうまくできなくなる異常が発生したことで起こります。

 

特徴は以下の通りです。

 

いくら食べてもうまく栄養が吸収できない状態のため、長引くと体重が減りはじめ、嘔吐などの症状が見られることもあります。

 

できるだけ早く病院を受診したほうが安心でしょう。

犬が下痢になってしまう原因と危険度別の対応

 

犬が下痢になってしまう原因は、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 食事
  • ストレス
  • 異物誤飲や誤食
  • ウイルス
  • 寄生虫や細菌

下痢のきっかけとなった内容別に、危険度の高さを示した表が次の通りです。

 

ワンちゃんは環境の変化を察知する能力が高いため、普段と違うドッグフードの味や洗剤の匂いなどに対して敏感に反応します。

 

ストレスを感じて下痢をしてしまうこともあるため、心配なことがなければ1〜2日自宅で様子を見てもいいでしょう。

 

ただし、3日以上下痢が治らなかったり、下痢の他に嘔吐や血便などの症状が見られたりする場合には、少し注意が必要かもしれません。

 

具体的にどのような時に受診すべきなのかは、次章で詳しく解説します。

動物病院にはいつ行く?受診の目安となる症状

 

愛犬の下痢に気がついたら、まずは受診すべきかどうかを見極めるために様子を確認しましょう。

 

以下のような様子が見られる場合、ストレスや消化不良だけではなく、病気などの可能性が考えられます。

 

  • 下痢が3日以上続く
  • 嘔吐の症状がみられる
  • 血便が混じっている
  • ゼリー状の物が混じっている
  • 体が震えている
  • 肌に湿疹などがある

嘔吐や血便が見られる場合、寄生虫や細菌、ウイルス感染症や慢性腸炎などの可能性があるため、受診をおすすめします。

 

また、異物や中毒の危険性のあるものを口にしてしまった場合には、できるだけ早く病院へ連れて行きましょう。

 

早く適切な治療をすることで体調が落ち着きやすく、犬への負担も軽くて済みます。

 

特に、重症化しやすい子犬や老犬(シニア犬)は早めの受診が安心です。

犬の下痢で病院へ行く前に見ておくべきポイント

 

下痢の症状を診てもらうために病院へ行く際には、次のようなポイントをチェックしておきましょう。

 

拾い食いをしたり、誤食したりする可能性がある場合には、どのようなものを口にしたか、可能性レベルでもいいので伝えられるとスムーズ。

 

実際の便があると検査もしやすいため、できるだけ持参しましょう。

 

もし便を持って行けなければ、写真を撮っておくだけでも問題ありません。

 

便を採取した時間や状況、犬の様子なども一緒に獣医師へ伝えてください。

犬が下痢をしているときに適した食事とは

 

犬が下痢をしているときの食事は、できるだけ消化によく、胃腸を刺激しないものを選ぶのがおすすめ。

 

まずは半日ほど絶食をして胃腸を休ませ、その後、消化にいい食事を普段より少なめに与えます。

 

下痢で脱水症状になりやすいため、絶食している間も水分補給はこまめに。

 

冷たい水では胃腸を刺激して下痢を悪化させかねないため、常温の水を用意し、一気飲みしないように少しずつ与えてください。

 

絶食後は食べ慣れたドッグフードを30〜40度ほどのぬるま湯でふやかし、ふやかすために使ったぬるま湯も一緒に食べさせましょう。

 

フードをふやかすことで胃腸を刺激しにくく、消化もよくなります。

 

ただし、嘔吐など下痢以外の症状が見られる場合には食事は避けたほうが無難。

 

まずは動物病院を受診し、医師からの判断を仰ぎましょう。

 

ワンちゃんが下痢のときの食事については「犬が下痢の時の食事法とは?与えたい食材と下痢になる3つの原因とは」の記事でも詳しく解説しています。

 

与えてもいい食材やフードについて確認してくださいね。

どのような生活を送ればいい?自宅でできる対処法

 

下痢をしている犬は、胃腸が弱って栄養補給がうまくできなかったり、体力を消耗していたりすることが多いため、散歩などは控えて家の中で安静に過ごしましょう。

 

自宅で過ごす際は、腹巻きを使用したり、毛布をかけてあげたりと、できるだけお腹を温めることを意識してください。

 

愛犬の下痢をかわいそうに感じて市販の下痢止めを使いたくなるかもしれません。

 

下痢止めは下痢症状を落ち着かせますが、獣医師の指示なく服薬させるのは避けたほうが無難です。

 

その理由は、下痢になった理由によっては下痢止めで抑えないほうがいいことがあるため。

 

たとえば、感染症によって下痢をしている場合、下痢止めの効果で細菌やウイルスを体から排出する時間が遅れてしまいます。

 

愛犬の下痢を止めたい気持ちはわかりますが、市販の下痢止めを使う前に、まずは診察を受けたほうがベターです。

犬の下痢はうつることがある!犬も人も注意

 

犬の下痢にはウイルスや寄生虫、病原菌が含まれている可能性が高いため、他の犬の下痢には近づけないように気をつけましょう。

 

散歩中にウイルスや寄生虫が鼻先につき、舐めることによって体内に取り込んでしまう危険があります。

 

散歩中に他の犬の下痢や便を見つけたら、近づけないように行き先をコントロールしましょう。

 

また、多頭飼育している家庭ではウイルスが蔓延しないように注意が必要です。

 

下痢をしている犬とは離れて生活させたり、できるだけ早く排泄物を片付けたりといった配慮をしてください。

 

犬だけではなく人間も、寄生虫の含まれた便との接触により、「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれる感染症を引き起こすことがあります。

 

傷口から体内に侵入したりすることでうつるため、排泄物の処理をする際にはゴム手袋などを着用するといいでしょう。

犬の下痢を予防するための適切な方法

 

犬の下痢の多くは、環境の変化などによるストレスが原因であることが多いです。

 

人間にとっては大したことのない変化でも、敏感なワンちゃんにとっては大きな変化。

 

できるだけストレスをかけないような生活を心がけましょう。

 

特にやりがちなのが、急なペットフードの変更。

 

食べ慣れたフードから急に別のものになると、それだけでストレスを感じて下痢になる子もいます。

 

これまでのものと新しいものを少しずつ混ぜ、数週間かけて新しいフードに移行すると負荷がないためおすすめです。

 

感染性の下痢はワクチン接種や定期駆虫で予防でき、誤飲しやすい犬の場合にはリードを短くするなどの対策をして防ぐことができます。

 

適切な対応をすることによって下痢の頻度は抑えられるはずです。

犬の下痢は状態を見て受診の判断を

ストレスや食べ過ぎによる犬の下痢は、数日様子をみてから受診するのもいいでしょう。

 

ただし、下痢以外にも普段と違う症状が見られる場合には、早めに病院へ行くことをおすすめします。

 

病院へ行く前には愛犬の様子をチェックし、診察の際に伝えられるように準備しておくと安心です。

 

もし、動物病院を受診すべきかどうか悩んだら、「DEAR PET」の無料相談も活用してください。

 

獣医師や動物看護師など、ワンちゃんの下痢や病気に詳しい専門家が、適切な対応方法をお届けします。