保護団体などから保護猫を引き取るとき、数ある譲渡条件のひとつに「完全室内飼いと脱走防止策を施してくれる家庭」というものがあります。
昔は日本でもネコちゃんの外飼いが多く、今でも狭い室内に閉じ込めてしまうのはかわいそうだと考えてしまう人もいることでしょう。しかし、そういう人は保護猫を引き取ることはできません。
この記事では、どうして保護猫の完全室内飼い&脱走防止策をすることが良いとされているのかを、詳しくご説明していきます。
目次
どうして完全室内飼いが推奨されているの?
ネコちゃんにとって、外の世界は危険がいっぱいです。交通事故にあったり野鳥などの外敵に襲われる、猫嫌いな人からいじめられたり虐待にあったりするリスクもあります。ネコちゃんを外に出して遊びに行かせたことによって、大怪我を負わせてしまったり、最悪の場合には二度と会えなくなってしまったりしたらどう思いますか?
野良猫出身の保護猫の場合、鳴いてドアの外に出たがったり、窓から外の景色をずっと眺めていたりする姿も見られることがあります。これは、そのおうちから逃げ出したいからというわけではなく、好奇心の強いネコちゃん特有の行動です。いくらネコちゃんが出たがったとしても、絶対に外に出してはいけません。
あなたのネコちゃんは、もう「おうちの子」になったのです。外で野良猫と出くわしてケンカをしたら、簡単に負けてしまい、大怪我をしてしまうかもしれないのです。ケンカをして出血したら、猫エイズや猫白血病ウイルス感染症などの、完治しない病気をもらってくる可能性だってあります。
特に、もしも去勢・避妊手術をおこなう前に外に出したとしたら、野良の子猫をどんどん産ませることにもなりかねません。せっかく保護猫を引き取ったというのに、不幸な命を増やすような行為をしてしまっては、本末転倒です。ネコちゃんを外に出すような人には、里親さんになる資格があるとはいえません。
保護猫は完全室内飼い&脱走防止策をするのが常識
保護猫は、保護団体のボランティアスタッフさんたちから命を救われて、大切に預かられてきたという経緯があります。そんな大事でかわいい保護猫を、里親さんに託す際に「うちはこのネコちゃんを外飼いしようと思っています」なんていう人の元へは、決して引き渡すことはありません。
譲渡契約書にも「完全室内飼いをし、脱走防止策を施すこと」と明記されていることがほとんどです。決まりを守ることができない人は、保護猫を引き取ることはあきらめたほうがいいでしょう。
また保護猫を譲り受けるときには、スタッフさんが自宅にネコちゃんを連れてきてくれるというのが通常のパターンです。これには、本当に保護猫の飼育に適した住宅なのかどうかや、脱走防止策がされているかどうかをチェックされるという意味合いもあります。
自宅の外に脱走させてしまっては、完全室内飼いをしているとはいえません。ネコちゃんに脱走されないためには、玄関や窓に脱走防止のための工夫をしておくのは必須です。
脱走防止のために今すぐできること
保護猫を引き取ることが決まったなら、万が一にも脱走されることのないよう、まずは玄関ドアの前に柵をつけるといいでしょう。材料を買ってきて、DIYで作るという里親さんも多いです。DIYならば、気に入った色合いやデザインに仕上げられるので、インテリアの雰囲気も壊しませんね。
狭すぎたりして玄関に柵を設置することが難しい間取りならば、ドアの開け閉めの際にはネコちゃんがドアの付近に来ることがないように、細心の注意を払うようにします。お留守番をさせるときには、ネコちゃんの専用部屋に入れておくなどすれば、安心です。
そして、日ごろから開放する可能性のある窓すべてに、網戸ロック(網戸ストッパー)を設置します。網戸ロックとは、赤ちゃんやペットの危険防止のために作られた便利グッズ。ホームセンターやネットなどで、数百円程度で売られている網戸ロックで十分です。100円ショップでも置いていることがあります。力のない女性でも、短時間で簡単に取り付けることができるので、ぜひ活用してください。
網戸ロックをつけていないと、器用なネコちゃんが網戸に爪を引っかけて開けてしまったりする危険性も。里親さんの留守中にでも、網戸が開いてしまったとしたら、好奇心旺盛なネコちゃんの脱走はほぼ防げません。あとから「あのとき網戸ロックさえ取り付けていたら…」などと後悔することのないように、しっかりと設置しましょう。
ネコちゃんだけでお留守番をさせているときに、余計な心配ごとをする必要がないように、脱走防止策は万全にしておきたいものですね。
まとめ
保護猫の完全室内飼育と脱走防止策の重要性が、おわかりいただけたでしょうか。
大切な家族の一員となったネコちゃんには、完全室内飼いと脱走防止策を徹底してあげましょう。外に出られないことは、決してかわいそうなことではありません。ネコちゃんの健康や命を守る、里親さんとしての義務なのです。